ヤキモキする女子野球W杯の行方

ヤキモキする女子野球W杯の行方

□女子野球W杯の行方

 2021年2月となりNPBの春季キャンプがはじまり、CSでは連日のようにその様子が放送されている。ちなみに筆者は地元の青森にいるため、見ることはできないが、その代わりにSNSを通じて情報を仕入れている。とても便利な時代になったものだ。

 前回の記事では球春到来で嬉しいと書いた。これは喜ばしいことではあるが、実は筆者にはもう1つ、やきもきしていることがある。それはこれまで2度、延期となっている女子野球W杯についてだ。

 日本は去る1月に代表メンバー20人が発表された。その中には3大会連続MVPを目指す里綾実投手をはじめ、エイジェックで活躍中の川端友紀内野手や阪神タイガースWomenの三浦伊織外野手など、女子プロ野球で実績を残した選手たちが中心となり、文字通りの最強メンバーを形成した。

 

 代表選手も決まり、後は3月1日の開幕を待つのみと思われていたが、ここで立ちはだかったのが新型コロナウィルスだ。2020年はどこのチームも満足に練習や試合ができない中でなんとか代表選出まではできた。しかし、開催地となるメキシコへの移動や他の参加国の状態から、またしても予定通りの開催は厳しいとの発表がされた。

□他の参加国の状況

 筆者は3月の開催を見据えて、日本と対戦するであろう11の国と地域の情報を集めるため、各国の連盟ページを巡っている。以下が今回のW杯に参加する国と地域だ。

写真:女子野球W杯 参加国と地域(出典:WBSC)

 2月9日現在で代表選手が発表されているのは日本と台湾のみだ。台湾は前回大会では準優勝しており、日本に勝とうと闘志を燃やしている。その証拠に「打倒・日本」を目指して大会経験豊富なベテラン選手を中心に選出したという。

 念頭には延期や中止の可能性があったとしても、代表選手を発表するところがあるのだから、他国の動向も気になる。そんな理由から他国の連盟のページを巡っているのだ。しかし、具体的な動きがあったのはドミニカ共和国とベネズエラだけだった。この2ヶ国は選考合宿をするというアナウンスはあったが、その後がどうなったのかは不明のままだ。

 毎日のように更新がなく、ひたすら同じところを見ることに倦怠感を感じてきたある日、フィリピン野球協会からある連絡が入った。

「近々、フィリピン野球協会で2021年の国内外の活動計画を発表するから見て欲しい」

 筆者とフィリピン野球協会とは2019年11月の女子野球アジア杯と12月の東南アジア競技大会でチームや協会の首脳陣にお世話になり繋がりができた。上記の計画発表はオンラインで視聴することができたため、相手が話す英語を聴きながらその内容を把握していた。

 フィリピンの女子野球は国際大会デビューとなったアジア杯で大会3位となり、いきなりW杯行きを決めた。コロナ禍で思うように練習ができなくとも、オンラインでコーチや選手が繋がり、積極的にコミュニケ―ジョンがとれている。

 計画発表会では、フィリピン代表は日本を経由して大会1週間前にメキシコ入りするとしていたが「他国の出場辞退が相次いだことにより、大会は三度、延期されるだろう」と発表された。

 この話を聞いたのが1月17日のこと。その後、アメリカ女子野球でも同様に2021年の活動計画が掲載され、代表選手は夏頃に選出する予定だと書いていた。つまりコロナ禍もあり、3月開催は不可能であることを意味している。

 現状では延期された場合の代替日程の発表はない。まだ先が見えない状況が続くが、9月、もしくは10月の開催が望ましい。東京五輪をやるか否かもあるが、どこの国も満足に練習や試合ができない中でいきなり国際大会というのは、選手のケガの心配もあり危険だ。

□ウェビナーを活用せよ

 こうして三度、延期となるだろう女子野球W杯。今は国際大会で集まることができなくとも、国内では練習できる可能性は高い。練習は継続するとして、どうにか日本と世界の選手が繋がることができないかを考えている。

 最近、周囲の動きを見ていると音声SNSの「Clubhouse」が登場し、トークテーマを決めて自由に議論ができるようになり、盛り上がりをみせている。(※筆者はAndroidユーザーのためにまだ使用できない)

 また、昨年から野球だけではなく、色々な分野のセミナーがオンラインを通じて気軽に受けることができるようになった。海外の人と話をするとなれば、SNSやオンラインの何かを使うのが手っ取り早い。世界の野球・ソフトボールを取り仕切るWBSCではコーチングやスコアラーのセミナーをオンラインで行っている。これを女子野球でも活かせるのではないだろうか。

 筆者は2019年の女子野球アジア杯を見に行った際には他国の首脳陣や選手に話を聞く機会が多かった。その時に多く聞いたのが「日本と対戦できて嬉しい。日本の選手と同じグラウンドに立つだけで技術向上ができる」という前向きの声だった。

 自身が女子野球を推している理由の1つして「世界とともに一緒に発展していく」という目標を全日本女子野球連盟が目標の1つに掲げていることだ。普通は自国のことで精いっぱいになりやすいが、発展途上の競技だからこそ、世界基準で動こうとする姿勢に感銘を受けた。

 せっかく「世界とともに」を掲げているならば、オンラインを活かして日本発信の女子野球セミナーがあれば、文字通りの世界とともに発展するという部分を体現できる。WBSCのセミナーは連盟関係者しか受けられないという謎の決まりがあるが、連盟と同時に選手も参加できるようになれば面白いのではないだろうか。

 なんでもコロナが原因で諦めるのはもったいない。何かやってみようではないか。

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