呉志揚会長 「私も欧州と試合がしたい!」

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欧州選抜の次の相手は台湾選抜になるかもしれない。

去る、3月10日、11日に侍ジャパンが欧州選抜と試合を行った。結果は1勝1敗。WBCでも活躍したオランダやイタリアの選手たちが中心ではあるが、そのほかドイツやスペインといった全9カ国の出身の選手で構成されたことは大きな意義があったと思う。私たちファンが欧州に野球が存在していることの認知ができたこと。ワールドカップの影響もあってヨーロッパ=サッカーというイメージが定着している中、まさに風穴をあけられたような気持ちで試合を観た方もいるのではないだろうか。

この2日間、日本とヨーロッパで盛り上がっていた裏で台湾球界の関係者も係わっていたことはご存知だろうか。試合をよく観察してみると審判は台湾から派遣されていたのだ。「公平なジャッジをするため」として台湾から呼ばれていたのだが、そこには会長が極秘来日していた件が関係している。

台湾プロ野球会長の呉志揚氏は今年2月から新会長に就任したばかり。元桃園県の知事を務め、アジアシリーズを台湾で開催した実績を買われての抜擢。今回、国際交流や球団経営の方法について各国首脳陣と協議するために来日していた。試合前には東京ドームに隣接する野球殿堂博物館を視察。映画「KANO」の企画展を見たり、博物館内に所蔵されている台湾関係の書籍を閲覧していた。自身もその場にいたのだが、関係者を引き連れ、まるで参勤交代のような状態で接待を受けていた。

その後、世界野球・ソフトボール連盟会長のリカルド・フラックリ氏と会談。その中で呉志揚氏は「欧州は強い。選手個人の能力が素晴らしい。ぜひ、近々台湾でも試合をしてほしい。これは台湾代表にとっても非常に有意義なことだ」と語った。

この発言にはある狙いがある。それはオリンピック復帰だ。競技復活のためにはオリンピック委員の投票が必要になる。投票で重要なことはヨーロッパ出身委員から50票以上を獲得すること。したがって、侍ジャパンに続き台湾でも試合が実現できれば目標に近づくことができる構図になっている。

今は世界全体でオリンピックのためにむけて動いてもよいだろう。しかし、考えなければいけないのは開催できたとしてその後の取り組みだ。体裁のために国際試合をするならやらなくてもいい。それであっても呉志揚氏からは本気が伝わってくる。アジアシリーズの誘致だけではなく、今回の日本訪問。会長自らという形はめずらしいのではないだろうか。

本当に実現するかどうかは不透明にしろ、台欧戦は見ものだ。世界の野球のために奔走する新会長。日本も負けてはいられない。日本vs台湾。アジアのリーダーを決める共闘はもう始まっている。

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