韓国中は大騒ぎだ。イ・スンヨプが韓国通算400号本塁打を達成。
(参考:イ・スンヨプ 400号ホームラン)
彼の公言していたことが現実になったのだ。2013年に352本目の韓国新記録弾を放った際に次のように言っていた。
「現役引退する前に韓国通算だけで400本を打ちたい」。
わずか約2年で達成してしまうところがさすがだ。サムソンのリュ・ジュンイル監督も10億ウォンの価値があると喜んでいる。
上の映像の最後にもあるようにライトスタンドの観客も記念球を手に入れようと集まっていた。肝心のボールは1億2千ウォンの値打ちがあるそうな。打った本人とボールではお金の差が微妙に違ってくる。
この大記録について「野神」こと、キム・ソングンが言及した。この日、ハンファの試合が終わりテレビを通じてイ・スンヨプの活躍を見守っていた。
「400号おめでとう。500号を打つまで絶対引退するな。まだ身体は20代なんだから」
イ・スンヨプも「キム・ソングン監督と過ごした時間がとても長く、濃厚だった。指導がなければより早く引退していただろう」と語るほどだ。
この2人は特別な間柄でもある。2003年のシーズン56号本塁打(当時)を引っさげて千葉ロッテに入団。MLBに行く話もあったようだが、NPBをステップアップと考えた末での決断だった。しかし、そんなに現実は甘くない。2005年には日本人投手の変化球に対応できず、スランプに陥っていた。
そんな窮地を救ったのがロッテでコーチを務めていた「野神」だった。2人で食事したときのこと。キム・ソングンは言った。
「お前は他人の練習を真似しているだけだ。韓国では4番という「席」が用意されていたが、そこに落ち着いてはいけない。期待されている以上、結果を残さなければ。常に崖っぷちだという気持ちで臨むべきだ」と。
イ・スンヨプのほぼ「専属コーチ」になると地獄の特訓が始まった。1日1000スイングは日課。手の豆がつぶれて血まみれになったこともった。ほかの選手は20スイングほどで試合に入っていったが、彼は600から700スイングをしてから臨んでいた。
まるで荒川博と王貞治のような師弟関係だ。
こうした努力のおかげもあって成績は前年の本塁打数が14から30に増加。その後、巨人では41本を放ち、活躍したのはご存じの通り。
実のところ、引退時期を決めているという話がある。真実かどうかわからないが「ホームランを打ち、感動の涙を流したとき」だそうだ。
今回で日韓通算559号。また2500安打まであと59本。現役を続けることによってまだまだ新記録が樹立される。今年、40歳を迎えるが力は衰えてはいない。
1本打つことでファンが興奮する。399号のときも「記録に縛られずに1球を大切に打ちたい」と謙虚な姿勢を示していた。大記録を打ち立てているのに決して傲慢になることはない。こうした態度が共感をよび「国民的打者」と讃えられているのだろう。
イ・スンヨプこそ、スター選手の鏡ではないかと自身は思う。一ファンとしてこの記録を祝福したい。