プレミア12に圧迫される韓国球界の今。
日本と同じようにペナントレースも佳境に入った韓国プロ野球。パク・ビョンホ(ネクセン)が2年連続50本塁打と球界新記録の140打点を達成した。首位を走るサムソンはイ・スンヨプをはじめ、100安打以上放った選手が10人と打線が猛打をふるっている。上位5チームが進出できるプレーオフに向けて各球団、しのぎを削っている。
個人成績やチーム順位に注目が集まるところだが、華やかな裏には苦悩がある。頭を悩ませているのは運営側の中の人たちだ。
シーズン序盤に続いた雨天中止の影響を受けて本来の休日である月曜日も試合をすることが決められたが、現在もその影響は続いている。昨日は韓国南部での3試合が中止になったことで、9月24日には3年振りとなるダブルヘッダーの開催が決まった。プレミア12の開催もあって11月3日までに韓国シリーズまで終わらせようと必死になっている。
運営側が苦しんでいるのは試合日程だけではない。選手のFA交渉についても同様だ。例年ならば、選手のFAについては韓国シリーズの翌日から始まる。終了から5日以内にFA資格者を公示し、2日間、選手からの申請を受け付ける。その次の日には申し込みを締め切り、FA権を行使する選手の名簿を公表することになっている。そこから所属球団と他球団、それぞれ一週間ずつ交渉の期間が与えられる。
今年に限ってはプレミア12で韓国代表が決勝戦に進出することも考えて大会終了後の11月21日からFA権行使選手を公示することを計画している。その場合、所属球団との交渉は11月28日までになる。現在、プレミア12の1次メンバーに選ばれている選手はキム・テギュン(ハンファ)を含め、6人。その中で3人はFA移籍すると関係者はみている。
さらに課題は山積みだ。韓国では2年おきにドラフト会議を年2回開催することになっているが、2次ドラフトが11月27日に予定されているのだ。全球団、FA選手と新人選手の交渉を同時に行わなければならない。また「保留選手名簿」も11月30までに提出することになっている。
試合日程、FA、ドラフト会議、選手名簿。運営側が受ける「クアトロパンチ!?」はプレミア12が近づくにつれ、ますます強力なものになっている。
世界的な野球の普及、オリンピック競技として復活のためにプレミア12の開催は欠かせない。韓国球界も2020年までに「アジア野球のリーダーになる」と目標を立てているからには国際大会を疎かにすることはできない。早くシーズンを終わらせて対策を立てたいところだが、難しいかもしれない。
このままでは初戦の日本戦はファンが失望してしまう結果になる可能性がある。試合が続く中、選手がケガも許されないし、シーズンの疲れが取れないまま大会に入らなければならない。自然には勝てないとはいえ、すでにデッドラインを迎えている。
試合数を128試合から144試合に増やした新たなシーズン、無事に終えることができるのか。大会を終えて気を休める暇もなく追い込まれる。
これだけ忙しいと運営側から自殺者が出ないか心配になってくるが、韓国球界の現実はそうなのだ。初開催の国際大会は思わぬところで圧力をかけている。