天母球場が侍ジャパンのホームと化す。
早いものでプレミア12開幕から1週間。A・B両組ともそろそろベスト8が決まるころだ。日本が3連勝と嬉しいが、台湾が予選敗退の危機ということでこちらの気持ちは少し複雑だ。ここから12日までのレポートラッシュといきたい。夜の試合に間に合うようにする。
まずは11日夜のの日本対メキシコ。結果は6対5で侍がサヨナラ勝ち。中田翔(日本ハム)が3安打5打点と脅威の活躍。これをCSのときにしてほしかったと思うハムファンもいたことだろう。
自身は台中での試合を終えて移動してきた。着いたときにはすでに4回2死で、4対2だった。まだ前田健太(広島)が投げており、少しだけだが投球を見ることができた。
このとき、レフトのポール側に座って観戦していた。周りを見渡すと日本人8割、台湾人2割といったところ。後ろでは聞きなれた日本の応援歌が鳴り響き、台湾の球場なのに日本のホームと化していた。
中には大野雄大(中日)の登板がわかると嬉しさで泣き出すファンもいたとか。
球場内ではソフトバンクやヤクルト、巨人など日本の球団のユニフォームを数多く見た。台湾の人も侍や日本ハムのものを着て一緒に応援する姿も。これは嬉しい。
中には小さなこども応援団もいた。微笑ましい光景だ。大人の力強い応援も必要だが、こどもの純粋な気持ちがその声にのっている。選手達は必ず力になっていただろう。
少し球場を歩き回っていると、バックスタンドには各国のスコアラーや球団スカウトが集結していた。どこの球場に行ってもこの光景は同じだ。プレミア12はメジャーを目指す選手にとってアピールの場所。前田や松田宣浩(ソフトバンク)にとっても重要な試合だ。
球場ではある「間違い」を見つけた。気づいた人はいるだろうか。それはこれだ。
炭谷銀仁朗(西武)が投手になっている。本当に登板したら打者1人は抑えられるだろうか。自身はこの試合で友人である台湾の日本プロ野球コラムニストの方と共に観戦していた。炭谷がバント失敗した場面があったが、その人は次のように言っていた。
「炭谷の打撃は全然ダメです。やはり守備の人ですね。打てなくても守りで貢献してくれたらいいです。」
ごもっともな意見である。それでも9月は打撃好調だった。パワプロ(野球ゲーム)でいえば「意外性」の特殊能力がついていることに違いない。
この試合、1番盛り上がったのは中田の最後の打席。このときは台湾人のファンも片言の日本語で一緒に応援歌を歌っていた。考えてみれば日本ハムの試合放送は現地でもされている。陽岱鋼とチームメイトであるから試合をみているうちに自然と覚えたのだろう。
まるで13年WBCでの両国の試合を再現しているような雰囲気。今回は一体となって日本を応援している。自身はこの光景に感動した。
戦う侍戦士。
試合終了後のあいさつ。この光景はいつもと同じ。後に見に行った台湾対カナダの試合でも台湾の選手達がマウンドに集まってお辞儀をしていた。
結果はこの通り。球場では日本の第2戦という位置づけの試合ではなく、改めて日本と台湾の両国の友好の証があった。日本語で応援する台湾人、抱き合って勝利を喜びを分かち合う日本人。会場の天母球場は神秘的な場所となった。相手のメキシコもプレーしずらかったかもしれない。
野球を通して交流する日本と台湾。両国の友情は永遠に。