タイブレークを制せず、台湾の熱闘終了。
14日の試合でキューバに29年ぶりに勝利した台湾代表。予選進出を目指した15日の最終戦は4対7とプエルトリコに敗れた。
写真:試合終了後に集まった代表選手達
(出典:中華成棒代表隊官方粉絲團 https://www.facebook.com/CTbaseballteam/?fref=ts)
前日の試合では3番・林智勝の3ランで台湾中のファンを感動の渦に包んだ。だが、今回の試合は劇的な逆転サヨナラ満塁弾で試合を決められてしまった。大会初のタイブレークに突入して2回勝ち越した台湾だったが、ことごとく追いつかれた。最後の最後までリードを守り切れなかったことが敗因だ。
先発の郭俊麟(西武)は国際大会では絶好調で今回は8回6安打1失点10奪三振の好投。直球、チェンジアップ、シンカーと緩急を駆使してプエルトリコ打線を抑えてマウンドを降りた。その後はチェン・グァンユウ(千葉ロッテ)が中継ぎ登板をし、得点を許さず。最後は潘威倫(統一)が打たれて予選敗退濃厚となった。
夜の試合でイタリアがキューバに敗れ、台湾のプレミア12での戦いは終わった。
登板を終えた郭俊麟は投球を振り返り次のように話している。
「プレミア12では多くの収穫があった。特にセットポジションでの投球に手ごたえを感じた。この経験は来季の手助けになるだろう。」
チームを指揮した郭泰源監督も試合を終えて大会を振り返った。
「負けたのはすべて自分の責任。今回はメジャー組が出場しない、なかなか全選手で練習する時間がとれないといった逆境の中で選手達は最後まで諦めず、よく戦ってくれた。」
投手陣は最初から弱いとの声が挙がっていたが、今大会で好投していたのは郭俊麟と宋家豪(楽天)、羅嘉仁(義大)の3人だけだろう。チェン・グァンユウ(千葉ロッテ)が開幕戦での相手、オランダ打線に打たれると継投のリズムも崩れていったように感じる。12日のカナダ戦でも序盤の失点が響き、中盤までは劣勢だった。接戦となり、よい試合になったのも打線のおかげだ。
今季、トリプルスリーを達成した林智勝(Lamigo)が4試合連続本塁打を放ち、打線を牽引した。しかし、シーズン39本塁打で台湾プロ野球の新記録を打ち立てた高國輝(義大)が逆に絶不調。わずかに長打1本、打点はなしに終わってしまった。
「打点0でチームに貢献することができなかった。ファンに申し訳ない。」と悔しさをにじませていた。
一方のスタンドのファンは1つのプレーに一喜一憂し、大盛り上がりだった。今回は敗退が決まり、失望する人も多かっただろう。心配なのは今後の台湾球界への影響だ。
台湾では国際大会での結果によって競技自体の人気度が左右される。以前は八百長でチームが減り低迷していたが、13年WBCでのベスト8がきっかけで再び盛り返した過去があるのだ。
今回はベスト8どころか予選敗退という屈辱的な結果に終わった。選手個々では活躍をしていたが、全体では負けたのだ。この結果が来季のシーズンにどのように響いてくるのか気になるところだ。
まず台湾は投手陣の強化を最優先すべき。絶対的なエース不在で戦った今大会で最大の課題も見つかったはずだ。投手が代わるたび、弱くなっていては勝てる試合も勝てない。他カテゴリーでは優勝できても、トップがこれではファンが離れてしまう。
この敗退で台湾は新たな一歩を踏み出そうとしているのだ。