全38試合の中で「1番」になった名勝負。
2週間をかけて繰り広げられてきたプレミア12は韓国の優勝で幕を閉じた。アメリカ相手に8対0と完封勝利という圧倒的な力を見せつけた。素直におめでとうと祝福したい。
写真:準決勝 日本対韓国のスコアボード
未だに小久保監督への批判が続いているが、それはもう無視することにした。色々なところで報じられているように、本人は17年WBCで借りを返すようなのでそれまでに力をつけてほしい。いささか疑問なのは来年3月に台湾と強化試合をすることが発表されたこと。東日本大震災の復興支援が名目だそうだが、果たしてわずか2試合で何を強化できるのだろうか。それならば最初からチャリティマッチという名前にすればよいのにと思ってしまう。
さて、ここであの準決勝に戻ってみよう。決勝進出をかけたライバル対決、日本対韓国は両国のファンが注目していただけではなく、全38試合中、2項目が1番となった「名勝負」であった。
1つは視聴率。日本では8回が終了した時点での最高瞬間視聴率は32.2%だったそうだ。これまで戦ってきた予選は15%をキープしていた。
開幕戦は19%、ドミニカ戦は15.4%という具合だ。これは日本シリーズの約10%よりも高い数字だ。野球ファンは日本一が決まっても試合を観ることができると喜んでいたのだろう。それも国際大会となれば国の威信をかけてぶつかるため、勝負が見ものだ。
面白いことに一部の台湾メディアでは浅田真央の復帰戦の時よりも高いと驚きの比較をしているのだ。ちなみに約23.2%だそうだ。なぜ、そこと比較したのかが疑問だが、日本でも野球熱が高いと証明するためだろう。
一方、韓国でプレミア12の独占放送をしていた『SBSスポーツ』での最高瞬間視聴率は23.3%。9回表にイ・デホ(ソフトバンク)が逆転打を放ったときだった。ちなみに準決勝・日韓戦の平均視聴率は13.1%で開幕戦のときは8.8%だったということを考えると、向こうでの注目度もはるかに高かったのではないだろうか。
2つ目は観客数。この試合は4万238人が東京ドームで観戦した。自身もこの数字の中に含まれている。満員にはならなかったものの、ドーム観客収容率93.5%という高い数字を残した。しかし昨日の3位決定戦のときにも感じたが、日本戦だからといって決して満員にならない現実がそこにはあった。
視聴率も観客数も全38試合中、1位となったこの準決勝。東京ドームで4万人入ったら良いほうなのだろうが、個人的には満員にならなかったことを残念に思っている。同じ場所でライブが行われるときには、駅周辺で『チケット譲ってください』という看板をもった女性が大集合している光景を見かける。
この事情はわからないが、野球でも同様なことが起きればそれだけ注目されていることが、街ゆく人にもわかるだろう。ダフ屋から買うのは危険なのでそれは無理なのかもしれない。
色々と批判はされてはいるが、運営側は大成功したと思っているのではないか。これがれっきとしたビジネスなのだろうが、ファンにも明らかにわかるような「侍ジャパンの利益追求」の印象はあまりよろしくない。
裏事情を色々と知っている。韓国側から抗議が来ていたことも事実だ。チーム的にもビジネス的にも次回のWBCでどのように立て直すのか期待したい。