ファン同士の交流も国際大会の醍醐味。
プレミア12が終わってからはや2日。色々なところで大会の総括を行っている。見る限りではチームもビジネスも課題が残ったという声が多数で、19年に開催予定の第2回大会もぜひやるべきだという内容が多い。
これには自身も大いに賛成だ。1度やっただけで終わらせてしまっては挙げられている課題も解決はしないし、海外の選手を身近で見ることができる機会も減ってしまう。WBCとは別に試合があればファンは1年中、野球を観ることができる。選手には申し訳ないが、本当に好きならばどんな試合でも観るのだ。
自身は今大会期間中、札幌→台湾→東京と各地の会場を飛び回った。試合はもちろん見ていたが、注目していたのはスタンドにいるファンの様子だ。日本・台湾両国の試合は人が入る一方、それ以外の試合はガラガラだった。韓国の応援は台湾ではBGM付きで行われており、まだ形上はなんとかなったと思う。
ヨーロッパや中南米など、会場に足を運びにくいファンでも少数派だが球場で応援していた。
仕方のない部分ではあるが、全出場国のファンが一堂に会することは難しい。そうではあっても自国の野球や応援スタイルを他国のファンに披露し「これが俺たちなんだ!」と言っているかのようだった。この様子こそ、国際大会ならではであり、日本では決してみることができない光景なのだ。
決勝戦のアメリカ対韓国でも同様だった。自身はもちろん現地にいた。札幌のとき同じように韓国側の席にいた。現地の応援スタイルは内野席で応援団長がファンをリードし、チアリーダーが雰囲気を盛り上げるといったもの。残念ながら東京ドームではそれができない。その代わりに1人のファンが団長になり、まわりの応援をリードした。
それにのって応援する韓国のファン。
まさか東京でも韓国の応援を間近で見ることができるとは思ってもみなかった。ファンは「5番打者~パク・ビョンホ!」「三球三振!」「レフトスタンドへ放り込め!」など現地で実際にやっているスタイルを披露した(もちろん、韓国語で)。
得点が入れば、抱き合ったり、ハイタッチをしたりと大喜び。この光景は日本とまったく一緒だ。優勝が決まった際にはお互いに名前も知らない人同士であっても記念写真を撮った。世界一になった喜びをスタンドに残っていた人と分かち合っていた。
最後に東京ドーム前にあったプレミア12の看板の前で大勢のファンが一緒に写真を撮った。その中には日本人もいて、その人が言った言葉がとても印象的だった。
『試合が終われば、みんな仲間だよ!』
その通りである。特に日韓は政治や歴史的な部分もあり、あまり関係は良くない。だが、スポーツに目を向けてみると国関係なく、応援しあっている。この機会がより多くなれば、お互いにわかりあって仲良くなれるのではないだろうか。
国際大会だからこそ、日本だけではなく、他国の試合や応援を観るチャンスなのだ。球場に足を運ぶことができる人はぜひ、日本以外の試合で他国の応援に混ざってみることをオススメしたい。
たとえ、言葉がわからなくとも見てまねればいいだけだ。勝てば周りのファンと大いに喜べばいいし、負ければガッカリすればいい。そこから交流が始まるのだ。国や考え方が違くとも同じ球場にいる以上は「野球好き」ということに変わりはない。もしかすると、その国の野球に興味を持つかもしれないし、どう転ぶかはわからない。一度、体験してみてほしい。きっと新たな世界への扉が開かれるはずだ。
違うところがあっても野球は野球。ファンは1つのキーワードで繋がっているのだ。日本が出ないからといって試合を観ないのはとてももったいないことだと自身は思う。
ファン同士が国関係なく、応援しあう。その姿こそが国際大会を盛り上げるため、新たな野球文化を創るため、私たちファンができることだ。
さっそく3月の強化試合で実践してみようではないか。