プレーを楽しみながらも複雑な表情を見せた陽岱鋼。
台湾・台中で開催中のウインターリーグと時を同じくして、新荘市にある新荘球場では日台両国のスター選手が集まり、野球教室を開催していた。この球場は郭泰源が04年から2年間、監督を務めていた誠泰コブラズ(現在は消滅)の本拠地だった。
指導していたのは日本からは野茂英雄、台湾は王建民(マリナーズ3A)や陳金鋒(Lamigo)、陽岱鋼(日本ハム)など豪華な面々だった。最終日となった11日は一般のファンにもスタンドを開放して試合が行われた。スタメンは次の通り。
写真:NIKEスターズのスタメン一覧
※台湾の友人から借用
先発した野茂は1回1失点の成績を残した。直球は133キロを計測。お馴染みのトルネード投法は健在でスタンドのファンは沸いた。
写真:トルネード投法で投げる野茂英雄
試合後、野茂は台湾で投げることはとても不思議な感覚だったと話していた。本人によると現在の台湾の高校生はメジャーを目指す選手が多いそうで、彼らに経験者ならではのアドバイスを次のように送っていた。
「メジャーまで駆け上がれば最高の待遇や環境、選手が待っている。ぜひ多くの人に挑戦してほしい。」
一方の陽岱鋼は最終日のみの参加となった。高校生に対して打撃と守備を指導した。試合では1回2死一塁の場面で中安を放っていた。
6回には遊撃の守備に就く。考えてみればプロ入り当初は内野手だった陽岱鋼。約7年ぶりだったが、問題なくこなしている姿がそこにはあった。
試合後には次のようなことを話した。
「日本でも台湾でも野球は野球。より上手になるためには基礎の積み重ねが大事だ。投げる、打つ、走る、守る。これらの基本プレーが確実にできれば成長は早くなる。」
現在、巨人への移籍やトレードの噂されているが、本人は全くこのことは聞いていないという。4000万ダウンという日本ハムからの提示に対してあくまでも納得のいく契約内容を知りたいだけだそうだ。15日に球団側ともう1度話し合う予定になっている。勝手な報道に驚きを隠せない様子だ。
4日間にわたり行われた野球教室は無事に終了。最後の記念撮影では全選手笑顔だったが、きっと陽岱鋼の心中は複雑だったに違いない。