ひどい、試合の次元を越えている。
台湾でのアジアウインターリーグ観戦初日となった14日、斗六球場で行われた欧州選抜対台湾代表は16対2で台湾代表が快勝した。欧州選抜に先制点を許すも6回に同点に追い付く。
8回、3番打者の楊岱均が満塁の場面から適時打を放って勝ち越しに成功した。その後もその勢いを緩ませることなく、9回にはなんと打者一巡となる11得点で完全に試合を決めた。
この大量得点にスタンドにいたファンは喜んでいたが、その一方で欧州選抜側が起こしたある行動によってエキサイトしていた。
監督が審判の判定を不服とし、暴言を吐いたのだ。それだけではなく、選手達も一緒になってけなす姿があった。言ってはいけない「F○ck you」を連呼するものだから周りの雰囲気が悪くなる一方なのだ。
この事件の発端となったのは9回の11失点にある。8回までで5対1と負けてはいたが、決して諦めるような点差ではなかった。最終回から登板したシャーベン(中国語では西本)の制球がまったく定まらず、四球を与えては痛打されるという悪循環に陥っていた。
190センチはあるであろう長身から投げ込まれる直球は130キロにも達しない。120キロ後半と115キロの球があったが、球種の見分けができないほど球が遅いのだ。なおかつ、ストライクが入らないとなれば待っているのは自滅しかない。台湾代表打線はそこにつけこんで案の定、シャーベンを粉砕した。
この恐ろしい攻撃にも運営側は手が追い付かない。スコアボードにはこんなネタが登場した。
捕手が2人いる、ないはずの延長戦のイニングに11得点が入るなどてんやわんやの状態だった。
シャーベン1人で11失点したわけではない。次に登板したのはなんと右翼を守っていたフェルナンデスだったのだ。
今季、メジャーでイチローが登板したことがあるが、その状況を思い出した。注目の初球、なんと172キロを計測しファンを驚かせた(もちろん、スピードガンの故障)。見せ場はここだけで後は打たれた。
なぜ、このような状況になったのかというと欧州選抜のブルペンは次のような様子だったからだ。
味方が打たれているのに誰一人として肩を作らない、ましてや椅子に座ってのんびりしていた。これでは野手が登板するのもうなずける。
またしても事件は起こった。あと1人で試合終了というところで台湾の投手が死球を与えてしまった。すぐに監督や選手が飛び出し、暴言を吐く。それを見かねた審判は退場を宣告したが、誰も退場はしない。おかしな展開となった。
台湾代表は完全勝利を収めたが、後味が悪い結果となってしまった。現地にいた自身も含めファンも気持ち悪い。
欧州選抜はたとえ、点差がついたとはいえ怠慢、傲慢な態度に出るのはおかしい。ブルペンの様子を見てそう確信した。チームは最下位でも参加している以上、プレーでファンを魅せなければならない。まさか初日からこんな試合を観ることになるとは思ってもみなかったが、これでは欧州に対してのイメージが悪くなるだけだ。今後の試合ではこうならないようにしてほしい。