準優勝の裏に悲しい現実。
台湾で行われていたウインターリーグは20日に決勝戦を迎えた。驚異の追い上げで予選を1位で通過したNPB選抜とプロチームを撃破し続けた台湾代表の対決となった。結果は4対2で台湾代表が優勝を成し遂げた。
写真:優勝が決まり歓喜する台湾代表の選手達
(出典:CPBL中華職棒 https://www.facebook.com/heartbaseball/?fref=ts)
NPB選抜 2-4 台湾代表
勝 鄭鈞仁
セ 廖任磊
負 柿田裕太
先制したのはNPB選抜。2回1死から陽川尚将(阪神)が中安で出塁すると続く高橋周平(中日)の中2で二・三塁とチャンスを広げる。この日、7番打者の和田恋(巨人)が中安を放って一挙2点を挙げた。
台湾代表は4回に柿田の暴投で1点を返す。その後は大きな動きはなく、試合は終盤に突入。
8回の台湾代表の攻撃。これまで7回1失点の好投を見せていた柿田を攻めて満塁とする。ここで浜田智博(中日)が登板。代打で登場した陳重廷も抑えられず2点適時打で逆転に成功した。その後は二死三塁から2番打者の林立の左安でさらに追加点を挙げた。
逆転されたNPB選抜は最終回、2死から横田慎太郎(阪神)が代打で登場し、中安で出塁する。しかし、後が続かず試合終了となった。抑え投手として登板した最速154キロの身長2メートル右腕、廖任磊から得点を奪うことはできなかった。
先発の柿田が7回までほぼ完ぺきな投球を披露していただけに8回は惜しい結果となった。「魔の8回」と言うべきなのか、野球というスポーツの恐ろしさが出た。
NPB選抜を率いた大森剛は次のように話している。
「優勝はできなかったが選手達はこのウインターリーグで成長したと思う。経験したことを糧にして来季は一軍で活躍してほしい。」
このウインターリーグは若手選手の育成を目的としているが、果たして「試合経験」という一言だけで片づけてもよいのだろうか。優勝を決めるリーグである以上、死に物狂いで優勝を狙っていくべきだ。選手個々では活躍が目立っていたものの、現地のファンを驚かせるような「ビックイベント」はなかったように思える。
自身も5試合を観戦して来た。最下位に沈んだ欧州選抜はわずか1勝に終わった。なんと試合中にサイン会を開催するといった日本では信じられないことをしていた。ファンとしては嬉しいことだが、真剣さが足りない。そのほかの試合でもKBO選抜やCPBL選抜の投手陣は後半になれば打たれる場面が多く、締まらない試合が多かった。
良いことを言えば、発展途上の選手の集まりで今後が楽しみだといえる。その逆は選手達が調整の場としか考えていないということだ。試合がつまらなく感じたのも国によって実力差がありすぎたかもしれない。台湾代表が他チームを撃破していったのは唯一の救いだろうか。
それは観客動員数にも表れている。この試合は1650人。同日には台北で少年野球の国際大会が始まったこともあるが、決勝戦だというのはこの数字は残念だ。実はこれが過去最高の動員数とのこと。シーズン中の1試合平均は大体6000から7000人。2軍の選手中心とはいえ、最低でも3500人はほしいところだ。
現地メディアは頻繁に報道していたものの、この結果だ。テレビやCPBL TVを通じて試合観戦ができることもあるが足を運ぶファンは少ない。陽耀勲(Lamigo)のように貪欲に試合に出ようとする1軍選手が増えなければただの「調整試合」のリーグ戦となる。
各国3名ほど選抜して1軍選手を参加させてみてはいかがだろうか。来年には「休まなければならないオフ」という概念を壊すような選手が出てきてほしいところだ。そう、ドミニカで戦っている筒香嘉智(DeNA)のように。