【台湾プロ野球】国民的打者の陳金鋒。 FA宣言の影響力は球界全体を動かす

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台湾人初のメジャーリーガーのFA宣言は球界を変える!?

新年2日目となった昨日は台湾・LamigoモンキーズからFA宣言していた林智勝が中信兄弟に移籍するというニュースが現地中を駆け巡った。入団を歓迎する人や移籍を悲しむ人など両球団のファンは一喜一憂した。

これで台湾のFA制度で国内球団に移籍した選手第1号となる。残るはあと2人。通算打率.302の捕手、鄭達鴻(義大)も中信兄弟に行くという情報があるが、1番、その去就が心配されているのは陳金鋒(Lamigo)だ。

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写真:昨年2月に行われた棒球英雄展のイベントに登場した陳金鋒

陳金鋒は台湾人初のメジャーリーガーになったのをはじめ、長年に渡り代表チームをけん引してきた国民的打者だ。張泰山と同じく、レジェンドの1人といえる。07年の北京五輪予選でダルビッシュ有(現レンジャーズ)から逆転本塁打を放った姿が印象的だ。近年は指名打者か代打でのみの出場に限られているため、出場機会が減少し、2年間は本塁打がない。一部では38歳という年齢もあり引退も噂されていたが、今回は最後のFA宣言をしていた。

今のところ手を挙げている球団はないが、義大が興味を持っているとの情報がある。ただし関係者は本人の地位を尊重した上で次のように話している。

「彼は若い選手の模範となる人物だが、獲得するかどうかはまた別の話だ。その証拠にまだ接触もしていない。シーズンに入って何か緊急事態が起きたとしてもそれは難しい」

過去にマニー・ラミレスを入団させた球団だが、そのときのようにサプライズ補強をすることはなさそうだ。そうなってくるとLamigoに残留するしかない。1年契約に加えて、17年に専任コーチ就任が条件となる可能性がある。

これに対しファンは「残留するのはよいが、彼をマスコットのようにはしたくない」という声が挙がっている。近年は1軍出場の機会が減っているとはいえ、打席に立つだけで球場全体が揺れるほど絶大な人気がある。台湾を代表する打者に対し酷い扱いをしてほしくないのだ。

その思いはプレーだけではなく、人間性にも表れている。自身は昨冬に台北で行われた台湾野球の特別展示「棒球英雄展」に行った際、陳金鋒のトークショーに参加した。150人限定のイベントで唯一、日本人は自身だけという微妙な雰囲気だった。彼はファンの質問に丁寧に答え、1人1人の目をしっかりと見て話す。同時に行われたクイズ大会では正解者にプレゼントがあった。直接、本人から渡しされるためファンにとっては夢のような時間だ。ただ渡すだけなく、全員に感謝の気持ちを言っていた。このような小さな気遣いがファンの心を掴んでいるのだ。

当時、自身は日本野球の印象について質問した。そうすると次のように答えてくれた。

「日本には80年積み上げてきた高度な技術とトレーニング方法があり選手個々の能力が高い。台湾も日本から学ばなければならないことが数多くある。ただし、台湾にも良いところがある。今回は日本から来てくれてありがとう」

こう言われてしまってはファンになるしかない。とてもありがたいことだ。

今回のFAで球界全体では早急に球団を増やすべきだという議論がされている。長年、関係者やファンからは新球団の誕生が期待されてきた。現在の予定では3年以内に5球団目ができるようだ。台湾プロ野球会長の呉志揚氏も将来は6球団にしたいと言っていた。

国内移籍するとなれば選択肢は3つしかない。陳金鋒のような野球人生を賭けるような選手であれば海外球団からのオファーは難しい。そうなれば球団の増設が望ましい。最近は国内プロ入りする選手が増えているものの、以前はプロを経由せず、メジャー挑戦をする選手が多かった。これは若い選手もベテランにも新たな選択肢となると同時に球界発展に繋がることだ。

今回の陳金鋒の件で台湾球界がまた変わるかもしれない。この選手の影響力は凄まじい。まずは無事に今季のプレー先が決まってほしいところだ。

出典元:
http://sports.ettoday.net/news/623700

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