34歳、新たな挑戦へ。
日本球界はキャンプを間近に控え、選手の1、2軍振り分けが明らかになってきた。「お正月」まであとわずかであり、ファンにとっても嬉しい限りだ。新人選手の今後が楽しみな反面、まだ去就が決まっていないものもいる。その代表が松中信彦(元ソフトバンク)と鉄平(元オリックス)だ。松中は各球団にテストを打診するという話があるが、鉄平は不明だ。
海の向こうの台湾ではLamigoモンキーズを戦力外になった34歳の選手がメキシコリーグに挑戦することになった。名前は陳冠任という。
映像:サヨナラ安打を放つ陳冠任
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=ElJXv_lcVRE)
陳冠任は06年に兄弟エレファンツ(現中信兄弟)でプロ生活を開始。新人から打率.346とシーズン100安打を記録し、新人王と首位打者のタイトルを獲得した。ルーキーでの100安打はわずか17人しか達成していない。元々投手だったが、外野手に転向している。
11年にはトレードでLamigoに移籍。主に指名打者として活躍し、昨季は通算900安打を記録した。自身3度目のサヨナラ安打を放ち、チームに貢献したが、なかなか出場機会には恵まれなかった。成績は打率.339 本塁打3 打点13に終わった。
その後はメキシカンリーグ挑戦の意向を示しており、今回、同リーグに所属するタマウリコス・ブロンコスに入団することになった。月給は7500ドル。クビになってから台湾の他球団からは声がかからなかったが、希望通りの道を進む。
本人はこの決定に「メキシカンリーグにいることはよいことだ。結果を出して台湾球界に戻りたい」と決意を語っている。
これまでメキシコでプレーした台湾人は2人いる。プレミア12で抑えを務めていた陳鴻文(中信兄弟)と台湾プロ野球選手会長の胡金龍(義大)だ。
月給は昨季よりも日本円にして12万円減ることになったが、現役を続けるため海外に行く。家族がいれば事情が違ってくるかもしれない。それでも本気でプレーを続けたいのなら自国にこだわるのではなく、海外にも目を向けるべきだ。本人がやり切ったというのなら話は別だが、選択肢はあるのだ。
日本の選手でも高津臣吾(ヤクルトコーチ)や小林亮寛(元千葉ロッテなど)らが海外の球団を渡り歩き、完全燃焼した例もある。必ずしも入団できる訳ではないことを前提にしながらも選手自身が納得いくまで道を進んでほしい。
ファンの中には「いつまでも現役にしがみついて何になる」という声が挙がる場合もある。その選手の状況によりけりだとしても最終的に決めるのは本人なのだから我々は何も言えない。
陳冠任にはぜひ、メキシコで活躍してほしい。34歳で引退するのはもったいない。