行き先に苦しむ、日本球界出身のベテラン投手。
台湾球界では日本よりもひと早く、キャンプが始まっている。練習試合の日程も決まり、3月19日の開幕戦に向けて各球団の選手達は調整を続けている。現地には韓国球団の2軍や中国の天津ライオンズも来ており、国際試合も数多く観ることもできる。
その一方でいまだに去就が決まっていない選手もいる。日本球界も経験した許銘傑(元西武など)だ。
映像:清田育宏(千葉ロッテ)と対戦する許銘傑
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=0r1kOEY0uGE)
14年にLamigoモンキーズに入団し、台湾球界に復帰した。初年度は7勝を挙げて投手陣最年長としてチームをけん引した。翌年はわずか4勝に終わり、39歳という年齢もあり、戦力外通告を受けた。元々、クビになる予感はしていたようで全19試合登板のうち、8月の1ヶ月だけでわずか2試合とチームに必要ない存在であることを感じたそうだ。
最近まで中信兄弟が興味を持っていたが26日、正式に手を引くと発表した。球団側としてはベテランよりも自前の選手を育成する方針を決めたようだ。
残るは統一と義大の2球団のみ。統一は戦力外になった選手のテストはしないと表明しているが、義大はまだどうするか決めていないようだ。
義大のオーナーは「許銘傑も含めて、戦力外になった選手を獲るかどうかは決めていない。これから会議をするが今のところその予定はない」
現在、本人は自主トレをしながら現役続行に向け練習をしている。台湾球界に戻りたいと意志を示しており希望は捨ててはいない。「興味をもってくれる球団があるならば話を聞いてみたい。年齢のこともあって人生は折り返し地点にいるが、球界に戻りたいという希望はもっている」と話している。
厳しい状況下にいるものの、吉報を待っている。事実上、選択肢は1つしかない。以前は台湾球界参入を目指している社会人チームの崇越ファルコンズも興味を持っていた話もあったが話は進展しなかったそうだ。
統一が張泰山を事実上の戦力外にしたように台湾球界はベテラン選手に対してシビアになっている。日本も同じことだが30代後半の選手は毎年、死に物狂いだ。39歳になった許銘傑も同様だ。ひと昔のようにNPBを経験したからといってすぐに台湾にいけるほど甘くない。
先発ではなく、中継ぎならいけるのではないかと思ってしまうが、それでは「許銘傑」だけに許さないと思う。今のところ配置転換しても投げるという話もない。まずは唯一の希望である義大関係者との交渉の場がもたれるかだ。
開幕が待ち遠しくキャンプに目がいってしまうが、その裏で野球人生の瀬戸際に立たされている選手もまだまだいるのか。厳しい春を迎えているベテラン選手の姿がここにある。