侍と戦う、戦士達が決定。
3月5,6日は侍ジャパンの強化試合が行われる。対戦するのは台湾代表だ。3月に両国がこのような形で闘うのは12年春に行われた震災復興支援試合以来、4年ぶりとなる。今回、ひと足先に試合に出場する台湾の27選手が発表された。
写真:侍ジャパン強化試合に出場する台湾代表の選手一覧
(出典:CPBL中華職業棒球大聯盟Chinese Professional Baseball League https://www.facebook.com/CPBL1989/?fref=nf)
選手の内訳はLamigoが最多となる10人、中信兄弟が7人、統一と義大が各5人ずつだ。日本球界を経験した王溢正や陽耀勲らがメンバー入りしている。そのほか昨年、トリプルスリーを達成した林智勝やリーグ最多本塁打記録39本の高國輝など実績のある選手らが揃っている。ほぼベストメンバーと言っても過言ではない。
ここからは簡単に選手を紹介する。今回は投手だ。
・陳禹勳(Lamigo 右投)
入団3年目。オーバースローの中継ぎ投手で躍動感あるフォームから投げる最速150キロの重い直球が武器だ。持ち球はスライダー、シンカー、フォークだが、スライダーの制球に難がある。昨年は2勝7敗4セーブ9ホールド 防御率4.91だった。プレミア12にも出場し、中継ぎの一角を担った。
・陳鴻文(中信兄弟 右投)
チームの絶対的な抑え投手で昨年は24セーブを挙げた。台湾球界は4年目を迎えるがこれまでカブスマイナーやメキシカンリーグに在籍し、海外での試合経験が豊富だ。台湾での最速は156キロで変化球はツーシームやスライダー、フォークなど球種が多い。特にフォークは落差があり、林智勝がてこずっていたほどで注意が必要だ。
・潘威倫(統一 右投)
台湾球界歴代最多の124勝を誇る投手。過去、アジアシリーズでも来日したことがある。03年の入団から8年連続2桁勝利とエースに君臨していたが、ケガもあり近年の成績は落ち込んでいた。だが、昨年は9勝を挙げて復調の兆しを見せた。最速は152キロでカットボールやスライダー、カーブなど打たせてとる投球スタイルに変貌を遂げている途中だ。
・崴林子(統一 左投)
昨年、ドラフト1位で入団した即戦力投手。最速146キロの直球とナックルカーブを武器に2勝を挙げた。約30キロ差の緩急を駆使し、打者を打ち取るのが得意。だがよく直球が高めに浮くことがある。投球テンポが早いため、走者は盗塁時に注意だ。
・王溢正(Lamigo 左投)
横浜ベイスターズに所属した経験がある左腕。台湾に戻って3年目となった昨年は2桁11勝を挙げてチームを台湾一に導いた。特に負ければ終わりという状況で迎えた台湾シリーズ第5戦では9回完投し、逆転優勝の立役者となった。最速は148キロ。変化球はスライダー、カーブ、チェンジアップと球持ちがよく、非常に打ちづらい印象がある。
・林正豐(義大 右投)
通算300試合登板を達成した中継ぎ投手。スリークォーターぎみのフォームから最速146キロの直球とツーシームを駆使し、相手打者の打ち損じを狙う。ほかにスライダーやチェンジアップがあり、腕の振りがゆっくりのため惑わされる者も多い。けん制もうまく、全投手の中でトリッキーと言ってもよいのではないか。
・倪福德(義大 右投)
過去、デトロイトタイガースに在籍していた投手。メジャーでは主に中継ぎとして投げていたが勝ちは付かなかった。昨年、台湾に戻り、先発として4勝を挙げた。最速は151キロだが、近年は140キロ前半だと思われる。ツーシームやスライダーやチェンジアップなど動く直球と緩急で勝負する。非常に球の出どころが見にくいことが特徴だ。
・王鏡銘(統一 右投)
先発と中継ぎの両方をこなす器用な投手。昨年は32試合中、先発17,中継ぎ15とチーム事情に臨機応変に対応していたが、5勝に10敗に終わった。最速153キロでスライダー、カーブ、フォーク、シンカーなど球種も豊富。最大の武器は打者の内角をえぐる高めの直球だ。力があり多くの打者が打ち損じている印象だ。
・謝榮豪(中信兄弟 右投)
188センチ88キロのがっちりした体から投げ込まれる直球は最速151キロを誇る。まだ入団3年目だが、回またぎもできるスタミナがある投手だ。直球でガンガン攻めるタイプで球に力がある。昨年は中継ぎとしてわずか5ホールドに終わったが、スライダーやチェンジアップなど変化球の制球がよくなれば先発として活躍できる可能性もある。
・林柏佑(Lamigo 右投)
チームの抑えを務め、13セーブを挙げた。足を高く上げるフォームから投げる直球は147キロ。スライダーが武器も制球に苦しみ5勝を挙げたものの、防御率3.96と絶対的な抑えとは決して言えなかった。昨年はプレミア12も経験し中継ぎとしてチームを支えた。狙い打つならば高めに浮いた直球だ。
こうしてメンバーを見てみるとプレミア12を経験したのは7人。若手として国際試合を経験させるのもいれば、各球団で実績十分な選手もいる。個人的に注目したいのは2年目の崴林子だ。昨年のドラフトで大騒ぎされていたのをよく覚えている。1番はナックルカーブだ。日本では五十嵐亮太やバリオス(ともにソフトバンク)が投げており、新たな魔球と言われていた。
台湾を率いるのは洪一中監督(Lamigo)だ。投手陣は交代するごとに個々の能力が低くなると言われているが、その弱点をどのようにカバーするのか、采配にも注目していきたい。次の記事では野手を紹介する予定だ。