復帰への想いが思いもよらない方向へ。
台湾・Lamigoモンキーズを戦力外になり、移籍先を探していた許銘傑(元西武など)がとんでもないことになった。30日に社会人チームと契約を発表したのにも関わらず、1日になって台湾プロ野球の中信兄弟への入団が決まったというのだ。現地メディアや関係者は急な発表に困惑している。
映像:中信兄弟を相手に投げる許銘傑 ※途中で渡辺久信も登場
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=uMJ5EEZOhA0)
中信兄弟は以前から彼に興味をもっていたが26日、正式に獲得しないことを表明した。その後、30日に以前から台湾球界参入を目指している社会人チームの崇越ファルコンズに入団することが決まった。2年契約で将来的にプロに戻るために準備していた矢先の出来事となった。
崇越入団が決まった時、本人は「ここで結果を出してプロに戻る」と決意表明をしていた。しかし中信兄弟入団が決まると態度が変わり「入団するかどうか徹夜して考えた。崇越の関係者の方には感謝したい」と話した。
いつ中信兄弟は接触し、契約をしたのか。崇越とは30日に契約合意していた。代理人の話によれば31日23時に球団から電話がかかってきたという。それはすぐに本人に通知され数時間悩んだ結果、1日8時に崇越側に断りの報告をしたそうだ。
もちろん、許銘傑の行為には台湾棒球協会は怒っている。秘書長の林宗成氏は「社会人野球で投げられるように審査を通過した直後だというのにすぐにプロ球団と契約するとはとても遺憾だ。今後はプロからアマチュアに戻ろうとする選手に対して厳しい審査基準を設ける。この問題を野放しにする訳にはいかない。一生に残る悪い記録となる」と語っている。
このような事例は日本で61年に起こった「柳川事件」のようになりかねない。当時、プロとアマとの間で「3月1日から10月31日までは選手をスカウトしない」という決まり事があった。しかし中日が4月20日、日本生命に在籍していた柳川福三と契約した。この行為にアマ側は激怒し、長期にわたる関係断絶が始まった。
手を引いていた中信兄弟の行動は最近おかしい。今回の件のほか、FAで獲得した林智勝の入団発表に関して
も上手く協約を利用した。昨年までFA選手を獲った場合には選手年俸の2.5倍の金額を元の球団に支払うことになっていたが、今年からは1.5倍に負担が減ったのだ。それは1月1日付から適用された。契約発表したのはその直後だった。
今後は本人と球団に事情聴取をするようだ。許銘傑にとっては念願が叶い、嬉しい限りではあるが、すべてのファンが納得するような移籍の仕方ではない。39歳で野球人生も終盤だからとはいえ、焦る必要はなかったのではないか。先に契約した崇越側が可哀想に思えてくる。
せめて過去の日本のようにプロアマ間で関係断絶という最悪な結末を迎えないことを願うのみだ。しばらく現地ではこの話題で多くの議論が交わされそうだ。まずは様子を見てみよう。