厳しい中でもプレーする喜びをつかむ選手達。
現在の日本球界では戦力外通告をされたとしても野球を続ける方法として独立リーグをはじめ、社会人、海外に行く方法がある。入団できるかどうかは別として、考えることはできるのだ。
一方でお隣の韓国では日本以上に厳しい状況にある。なぜなら1つしか選択肢がないのだ。
映像:ヨンチョンミラクル誕生を伝えるニュース
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=NgeGA6Pq9Vo)
現在、高校や大学を経てもプロになることができなかった選手達を受け入れている球団がある。それが「ヨンチョンミラクル」だ。地域名となっている「ヨンチョン(漣川郡)」は韓国の北部にあり、郡の西部から北西部には軍事境界線が通っている。北朝鮮に最も近い球団といえる。これが国内で2球団目となる独立チームとなる。以前は現在、ハンファイーグルスで指揮を執るキム・ソングン監督が率いていた「コヤン(高陽)ワンダーズ」が存在していたが、諸事情により解散した。
コヤンに代わって誕生したヨンチョンは昨年春から活動を開始し、主に大学やプロ2軍と試合をしていた。所属する選手達の目的は日本と同じ。プロに行くことだ。韓国では選手の受け皿になるべきところがほぼ、ない。軍隊に入っても専門チーム「サンム」があるが、テストに合格しなければならない。不合格になれば陸軍や海軍といった一般の部署に行かなければならない。つまり約2年間は野球はできない。
ヨンチョンは2月18日、19日の2日間にかけてトライアウトが行われた。参加した選手の中には除隊したのにも関わらず、チーム事情により戦力外になった者や結婚して間もない者など様々な境遇でもがく男たちが集まった。
KIAタイガースに所属していた遊撃手のチャン・シハは「急に戦力外になって野球を続けようとプレーできる場所を探していたところ、このヨンチョンミラクルの存在を知った」
昨年はハンファイーグルスに在籍し、たびたび1軍でも投げていたサイドスローのホ・ユガンも「結婚して間もないのに妻に申し訳ない。自分が職を見つけなければ周りの人すべてを苦しめてしまう」
今回、テストを受けた2人は無事に合格することはできたのか。結果は不明だ。
ヨンチョンでは首都のソウルなど中心部から離れている場所で練習していることもあり、マイクロバスを利用してほぼ遠征しなければならない。以前のコヤンでは資金豊富だったが、この球団では逆にお金がないため、宿泊や練習費の一部を選手が出すことになる。それでも1年間、プレーしてきた選手は不遇な環境の中でもこうして試合ができたことを幸せに思っているようだ。
チームを率いているキム・インシク監督(※プレミア12韓国代表監督とは別人)は「事実、所属している選手全員がプロ行ける訳ではない。いくらプレーが上手くてもそれは獲得する球団次第だ。それでもわが球団はプロを目指すきっかけとなる存在となりたい」と話している。
去年、3人をプロに輩出したヨンチョン。実績をつくったことで入団する選手達は夢の実現に向けて第1歩を踏み出すことになる。それでも本当の勝負はこれからだ。
プロを目指してがむしゃらにプレーする姿は日韓も変わらない。環境の差はあるものの、日本よりも厳しい状況にある韓国の選手達の精神力はここからつくられるのかもしれない。
出典元:
http://sports.news.naver.com/kbaseball/news/read.nhn?oid=052&aid=0000781138