【日台交流戦】強化も交流も表向きの2試合には得るものなし

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何のための強化試合なのか。

昨晩、明らかになった巨人・高木京介による野球賭博問題。オープン戦の裏で今後はさらなる事実解明がされていくことだろう。台湾報道を調べてみたが、日本と同様のものが多く目立ったものはない。
 

その一方で一部の現地メディアでは先日まで行われていた強化試合の総括をしているところもある。

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試合当日までの台湾国内の動きを振り返ると盛り上がりを見せる裏で日本に対する失望の声もあった。それはチームの呼称についてだ。当初は「チャイニーズ・タイペイ」ではなく「台湾」として試合がしたいと日本側に要請していたが、拒否されたのだ。理由として中国側に配慮したのはもちろんのこと、世界野球ソフトボール連盟公認の試合とし、五輪復帰をPRしたいからだ。その証拠に両国間で発表されたロゴが違うのだ。

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上が日本のもので、下が台湾のものだ。見ての通り、日本側はWBCに向けた「強化試合」に対して台湾側はあくまでもNPBとCPBL選抜による「交流試合」という位置づけになっている。日本では一切、報道されなかったことだ。実はナゴヤドームで一瞬だけWBSCの文字がスクリーンに映っていた。気がついた方はいるだろうか。

現地では総括を行っていると書いた。実際に疑問として挙げられているのは2つある。試合を通じて「何を強化できたのか」「どんな交流ができたのか」ということだ。

 
侍ジャパンにしても同様のことがいえる。わずか2試合で何を得たのか。選ばれている以上、すべての選手を出さなければならない。見に来ているファンのことも考えて地元球団に所属している選手はその本拠地で出たほうが盛り上がるのは当然だ。ナゴヤでは大野雄大と平田良介、京セラでは西勇輝の名前がコールされると球場は大盛況だったのだ。こちらとすれば「いつも見てるだろ」とツッコミを入れたくなる。今後も同じ名前で国際試合をするのなら10試合くらいやるべきだ。プロ野球はファンに魅せなければならない。小久保裕紀監督が我々の顔色をうかがうような采配をするのなら反対だ。

台湾はどうだろうか。試合は日本投手陣にほぼ完ぺきに抑えられ、まったくと言っていいほどよいところがなかった。目玉は4番を打った陳金鋒(Lamigo)の引退セレモニーくらいだ。「色」がなかったのだ。各球場の制限の影響なのかもしれないがチアリーダーがおり、音楽を使った盛大な応援はなかった。日本の応援歌を聞き、点を取られて意気消沈していくファンの姿を自身は遠くからみていた。

完全に侍ジャパンの独壇場であり、強化も交流も何もないのだ。普段、なかなか台湾チームの試合を見る機会がない日本のファンにとってはよい機会になったのかもしれない。しかし、両国間で得たものはなかったのではないかと考えている。

以前、現地記者に話を聞いたとき「韓国に対しては異常なほど勝ちに行くが、日本に対しては1歩引いてしまう」と言っていた。今回も試合でもこの気持ちが出たのだろう。交流という面では選手がファンに募金を呼び掛けていたということくらいだ。本番前に出場選手を紹介して後はほったらかしである。中には台湾の選手はよく知らないが、日本代表戦だから観に来たという人もいるだろう。普通なら入場時にパンフレットがあるはずだが、それもなかった。選手を知らないままではお互いの距離が遠くなるばかりだ。

これからも今回のような国際試合を続けるのなら対戦相手を知る機会をより多く提供するとともに名称を変更すべきだ。銘打って行うのならその名前の通りのことをしてほしい。

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