歴史に残る、一戦。
3月19日、台湾ではアジアのどこより早くシーズンが開幕した。初戦は桃園国際球場でLamigoモンキーズ対中信兄弟だ。結果は13対11で中信兄弟が乱打戦を制した。時間にして4時間49分という出だしから恐ろしい内容となった。
映像:今季第1号本塁打を放つ林智勝
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=kH5E0fwp1Y8)
現地にいた友人のレポートによると試合前は大雨で開催できるか微妙なところだったが、本番が近づくにつれ、弱くなってきたという。だが、天気よりも肝心の試合が大荒れだったため、嬉しい悲鳴だろう。
この1試合だけで数多くの開幕戦新記録が出た。それは以下の通り。
□最長時間 4時間49分
□観客数 19,393人
□ 両チームでの合計記録
・7本塁打
・35安打
・23四死球
・12投手が登板
□個人の記録
・林智勝(中信兄弟)が2打席連続本塁打
・陳金鋒(Lamigo)が自身3本目となる開幕戦での本塁打
・林承飛(Lamigo)が18歳と346日の最年少で出場し、プロ第1号が代打満塁弾
当ブログで追っていた陳金鋒と林智勝の2人がいきなり結果を出した。陳金鋒はオープン戦から好調を維持し、一時は打率を5割まで上昇させていた。先日の侍ジャパン強化試合では登場するだけで大盛り上がりだった。この試合はなんと今季初打席で本塁打を放ったのだ。公式戦では2年間打っていなかったが、これで通算120本目となった。6打数2安打2打点と引退を表明している選手とは思えない成績だ。
一方の林智勝。こちらは昨年のトリプルスリーを獲得した勢いそのままに2本の本塁打を放ち、MVPを獲得した。初戦から古巣との対決ということもあり、特別な思いがあったに違いない。日本では12球団あるため難しいが、これで台湾全球団から1発を打ったことになる。四球の関係もあり3打数3安打3打点と打率10割だった。
オーランド・ロマンと陽耀勳(ともにLamigo)や林威助(中信兄弟)ら日本球界関係者も出場した。上記の2人とは別にこちらは散々な成績だった。台湾に戻ってきたロマンはいきなり開幕投手を任されたが、4回2/3を投げて被安打11 失点7と無念の降板。 陽耀勳は9番・左翼手で出場するも2打数無安打に終わった。林威助は3番・指名打者だったが、3打数無安打だった。
選手によっては明暗が分かれたが、ファンとすれば台湾野球の魅力を存分に感じることができた試合となった。打って、打って打ちまくる、そんな乱打戦こそが試合の長さを忘れさせるのだろう。両チームの応援席は目玉の1つであるチアガールの「LamiGirls」と「Passion Sisters」による応援合戦だ。Lamigoの本拠地であるため、あるときには球場全体がチームカラーの青に染まることもあるという。現地記者が言っていた「台湾のすごい応援がみたいのならLamigoを見てほしい」というのは本当なのだ。
ただし、喜んでばかりもいられない。投手陣は両チーム合わせて24失点した。これは酷すぎる。23四死球ということは制球が悪いということだ。たらればは禁物でもこれらがなければいったい、何点防げただろうか。まだ全120試合の1戦目としてもこの結果では今後が心配になる。
世界第3位になったとはいえ、これは全カテゴリーの国際大会での成績を考慮してのものだ。投手個々の能力は順位相応とは言えない。魅力と同時に大きな課題がのしかかった開幕戦となった。
出典元:
http://sports.ettoday.net/news/666017