韓国の伝道師は既に行動していた。
当ブログでは韓国・台湾を中心にアジア球界の情報を発信しているほか、野球伝道師として活動している元選手の様子をお伝えしている。これまでは日本人だけではなく、他国出身者についても紹介したことがある。その1人として韓国プロ野球草創期に三冠王を獲得したイ・マンス氏(元サムソン)が行っているラオスでの競技普及について追ってきた。
今回はその続編。自身は14年からラオスで野球を教えていたことは知っていたが、その前に既に彼は行動をしていた。ラオスの前にカンボジアでも野球を教えていたのだ。カンボジアといえば以前、連盟のトップを務めているジョー・クック氏にインタビューをしていた。彼にイ・マンス氏のことについて聞いてみた。
写真:カンボジア野球連盟のトップを務めるジョー・クックさん
久しぶりにクックさんに連絡をとるとすぐに返事がきた。今回のきっかけは韓国の現地記事でイ・マンス氏に対してカンボジアの野球関係者が 子どもたちを指導してほしいと依頼をしているという内容を読んだからだ。その真相を聞いてみた。
イ・マンス氏は既に09年からカンボジアの首都のプノンペンで指導をしていたという。当時はSKワイバーンズの監督を務めており、シーズンオフの合間をぬって現地に足を運んでいたようだ。教えていたのはカンボジア人ではなく、韓国人だった。
クックさんによればカンボジア生まれの韓国人の子どもは約3000人いる。父親は韓国で母親はカンボジアというハーフが誕生している。彼らは韓国には帰らずに永住している。これは日本人の場合でも同様だ。
経済や距離的な理由もあり、父親の母国に行くことができないのが現状。そのため、野球がしたくともできる環境ではない。そのため、イ・マンス氏が来てその都度、教えているというのだ。子どもたちの夢はいつの日か韓国に行ってプロ野球を観戦することだ。
実際、クックさんとイ・マンス氏の両者にはあまり関係がないそうだが、他の韓国球界OBとは知り合いのようだ。カンボジア在住のキム・ケビンという人物がイ・マンス氏と活動している。どのような人物かは不明。しかし、聞いたところによると中心メンバーは彼ら2人を含めてもう1人いるようだ。
韓国の記事によるとラオス初となる野球チームを創設したイ・マンス氏に対してカンボジアのほかタイなど東南アジアを中心に指導の依頼が来ている。もし、彼がカンボジアに行くことになれば自身も現地に足を運んで話を聞きたいと思う。
韓国の野球伝道師であるイ・マンス氏は既に東南アジアで野球の種をまいていたのだ。実際、プロ球界も海外市場拡大を目指して日々、動いている。競技普及はどこの国が行ってもよいことだが、このままでは日本が売り込む国がなくなってしまう。NPB主導で 市場開拓できるところはないだろうか。