最後の最後に唖然。
台湾取材2日目。前日の代打逆転サヨナラ本塁打の興奮冷めやらぬ中、朝起きるとそこは・・・雨だった。高雄をはじめ南側の地域は大雨だった。この日は台中に移動して中信兄弟と義大ライノスの試合を観戦する予定だったため、天候を心配していた。会場となった台中インターコンチネンタル球場に到着したときにも降ってはいたものの、すぐに止んで無事に開催されることになった。
マジック1としていた兄弟の優勝の瞬間を見ようと詰めかけたのは19483人。この数字は今年最多だ。そのためか普段から試合を見に来ているであろうファンもグッズを買い求めて列をつくっていた。なんと球場の外にまでも伸びていたのだ。同じものを来て応援をしたり選手と同じ気持ちでいたいのだろう。たとえ試合が始まってもそっちのけで欲しいものを手にいれていた。やっと収まったのは6回の攻防が終わったときだった。
肝心の試合は兄弟が7対5で勝利して前期シーズンの優勝を飾った。先発はジェン・カイウン、スタメンには林威助と元阪神の2人が同時に出場することになりこちらとしてもネタになった。
ジェンは6回を投げて10安打5失点。序盤こそ味方の失策も絡んで5失点したものの、たとえ2桁安打を浴びても試合をつくった。初回に打線が一挙5点をとったのにもかかわらず、一時期は同点とされたこともあってハラハラしていた。
数字だけを見るとこれでエースなのかと疑問を持つが、彼が中盤までマウンドにいたことはチームにとって大きなことだった。
一方の林威助。この日は7番・指名打者として出場。3打数1安打1打点だった。初回に遊撃手の頭を越える左安を放った、台湾に戻ってからというもの彼についてはあまりよい声が聞かれなかった。ケガの影響もあってなかなか成績が残せない日々が続いた。それでもこの大一番に打点をあげるのはさすがだ。
その後、6回に2点を勝ち越した兄弟はそのままリードを保って最終回へ。スタンドでは「その時」に向けて準備が進められていた。台湾独自の祝福の仕方、紙テープの投げ込みだ。
そして、最後の打者がニゴロに倒れてアウトが宣告された瞬間、待ちに待った時が来た。球場中がチームカラーの黄色で染まったのだ。
14年ぶりの前期優勝が決まり、抱き合うファンが続出、これは日本と同じだ。一方の選手達はグラウンドを一周する。
本塁まで戻ると呉念庭(西武)の父親である呉復連監督や選手達のあいさつなどを挟んで、次は別会場でビールかけが始まるのではないかと日本の感覚でいた自身はカルチャーショックを受ける。
なんと、その場でビールかけが始まったではないか。喜びを爆発させる選手達。テレビのインタビューを受けながらいたずらをされる姿も同じだ。
優勝の瞬間に立ち会うことができて幸せな気持ちだったが、この光景を見て唖然としてしてしまった、選手にとっての仕事場であり神聖な場所をビール臭くしてもよいのだろうか。これも文化の1つだと捉えればよいものの、開いた口がふさがらなかった。
結局、片付けるのは球場で働くスタッフ。今日11日も同じカードがあるため、処理しなければならない。一体、何時までかかったのだろうか。
なにはともあれ、ここまでは理想通りの試合を観てきた。統一が勝ち兄弟のマジック1、そして義大との対決に勝利して優勝決定という流れだ。ひとまず、兄弟の優勝を祝福したい。次は桃園国際球場に移動してLamigoモンキーズを観る。なんと、前日の試合が中止になったためにダブルヘッダーで開催されることが決まった。
天気が怪しいが無事に行われることを願いたい。