雨にも負けない熱狂ぶり。
台湾取材材3日目。前日の中信兄弟の前期優勝を見届けた次の日は国際空港がある場所で有名な桃園に戻った、いよいよ台湾プロ野球の魅力の1つである応援を最大のウリとしているLamigoモンキーズの試合を観に来た。
この日は元々、ダブルヘッダーが予定されていたが第1試合は雨天中止になった、夕方の試合は台湾初の女性総統の始球式が決まっていたことで意地でも中止にしたくなかったようだ。
会場となった桃園国際球場は空港からも直接向かうことができてアクセスもよい。空港から新幹線の駅までバスが出ている。約20分で駅に到着する。試合日には球場までのシャトルバスも運行されているのでとても助かる。
球場に到着すると雨が降ってきた、一時期、止んだと思えばまた強く降ってくる。そんな繰り返しで試合は始まる。そして、女性総統の登場。就任したばかりもあって人気も絶大だ。日本でも国のトップが始球式を行う機会はまたとない。この日は1つの伝説が生まれたことになる。
結果は大暴投ではなく、本塁ベース前をコロコロと転がる形となったが、桃園市長をはじめ、対戦相手だった統一ライオンズの関係者達も見守る中、大盛況に終わった。
肝心の試合はLamigoが11安打7得点で統一を下した。先発は日本にも関係があるワン・イーゼン(元横浜)。2月に行われた千葉ロッテとの交流戦以来となる投球を見ることになった。直球よスライダー、チェンジアップの組み立てで統一打線を6回6安打1失点に抑えた。本塁打を1本浴びたものの、8奪三振でクオリティースタート(6回3失点以下)も達成し、見事に役割を果たした。
一方の打線。1番打者として出場したのは陽耀勲。昨年8月から打者として復帰した今はチームの切り込み隊長として欠かせない存在となっている。以前はイップスに苦しんでいた選手とは思えないほどの復活ぶりだ。この日は4打数1安打1打点だった。石垣島のときは左翼手だったが、この試合では右翼を守っていた。
そして、チーム全体でも1打席1打席が注目されており台湾の至宝である陳金鋒は5番・指名打者としてスタメンに名を連ねた。名前が呼ばれるだけでスタンドのファンは総立ち。5月の月間MVPを獲得したことから本当に今年で引退するかと惜しまれている。共に観戦した友人は彼の打席になると動画を撮影しており、一言も話すことはなかった。
結果は1打数無安打で四死球がそれぞれ1つずつ。自慢の長打を見ることはできなかったが、その存在感は試合を支配していた。その翌日には二軍落ちが発表されたため、貴重な姿をみることができた。
チアリーダー特集はまた別にやるとして日本と違う点を見つけた。私たちは7回の攻撃をラッキーセブンと呼び、イニングが始まる前に球団歌、または応援歌を歌うが、台湾ではそれが8回にある。盛大なダンスが自慢のLamigoではファンが通路に並んで一緒に踊るのだ。イメージはEXELEだ。たとえ、投手交代でも暇があればとにかく踊る。
日本では考えられないことだが、これも台湾野球の魅力だ。ちなみに踊りすぎて肝心の野球は見ているのか時々、心配になってくる。
そして試合終了後のヒーローインタビュー。なんと話を聞いているのはアナウンサーではなく応援団長だった。彼は石垣島にも来ていた。お立ち台?に登場した選手は初日の統一のときと同じくチアリーダーと共に踊る。もうこれは恒例なのだ。
日本ではなかなかできないことの連続。野球を観つつも男性はチアリーダー、女性はダイエット目的で球場を訪れてみるのもよいかもしれない。台湾人のファンと一体になれる、それがLamigoモンキーズの試合だ。