【現地調査】台湾で野球の本を探してみた。一冊購入するも種類の少なさに凍りつく

NO IMAGE

もとを辿るには自分の足で。

台湾取材を始めてからもう1週間が経った。残念ながらもう帰国しなければならない。
海外での取材の最後には必ず書店に行き、野球関連の本がどれだけあるかみることにしている。

昨年12月のウインターリーグの際にも訪れた場所で台北101の近くにある誠品書店に足を運んだ。ここは2階と3階がまるごと本屋であり、スポーツはもちろん、生活や芸術、小説や漫画など陳列されている商品は多岐にわたる。

image

前回はここで日本で出版されている野球漫画の台湾版を購入した。「MAJOR」や「ダイヤのA」、「おおきく振りかぶって」など計5品ほどだったと思う。日本版を持っていれば比較しながら読むことができるため、語学学習にも役に立つだろう。

本当は店内の品揃えを紹介したかったのだが、撮影は禁止になっておりできなかった。その代わり、野球コーナーの様子を買ったものと共にお伝えしたい。

日本の書店と比較してもあまり変わりはないが、大きな違いはお客さんが普通に地べたに座って本を読んでいる光景が普通であることだ。場所によっては24時間営業のところもあり、もし終電を逃して帰れなくなったときに滞在することもできる。日本ではあまり印象が良くないがこれは海外ならではだ。

話を戻すと台湾のスポーツコーナーはどのようになっているのか。今回訪れた場所はなぜかほかのジャンルのものと少しかけ離れた場所に設置されていた。第1印象は一言「(品揃えが)少ない!」だった。一応、野球とともにサッカーやバスケといった他のスポーツのものも一緒に置かれていたものの、野球関連の本が極端に少ないのだ。

現地で毎月発売されている雑誌といえば「職業棒球(台湾プロ野球)」と「美國棒球(メジャーリーグ)」の2冊だ。これらは安定して売られているのだが、他のものが少ないのだ。ちなみに日本のものもあった。今年も選手名鑑が5種類ほどと巨人やソフトバンク、阪神のイヤーブック、そして松坂大輔のメジャー時代に焦点を当てた大型本が置かれていた。

ここは台湾。日本やメジャーのものは少ないのは仕方ないとしてさすがに母国のものは多いだろうと思ったがこれも期待外れだった。友人も元々、台湾には野球の本が少ないと証言していたが、その通りだった。あったのはルール本と選手個人の自伝、少しだけ台湾球界の歴史を辿っているものだけだった。さすがに一冊も買わずに帰るのももったいないと感じたため、以前から気になっていたものを購入した。それがこれだ。

image

この選手は義大ライノスの4番打者である高國輝だ。昨年は球界記録を更新するシーズン39本塁打を放った。その勢いでプレミア12の台湾代表にもなったが、まさかの打率1割台と不振に陥っていた。
前期シーズン終了直前の今では既に17本打っており、今年も自己記録更新が期待されている。

image

そんな彼の自伝というべきこの本は今年3月に発売されたばかりだ。実は著者とは交流があり、台湾を訪れた際には買うことを決めていた。まだ買ったばかりであり、あらすじしか読んではいないが、幼少時代からプロになるまでの軌跡をはじめ、マリナーズ時代の苦悩や現在の義大での活躍の様子など書いているようだ。
書店が大きく扱われていたのはこの本と林智勝(中信兄弟)の自伝くらいだ。

まだ台湾プロ野球は誕生して27年しか経っていない。球界の歴史本を出版するのは早いのだろうが、あと3年待つしかない。だが、1つ問題がある。歴史のことを書くには球界を揺るがした八百長事件や2リーグ分裂時のことも加えなければならない。今でも一部では八百長疑惑がささやかれているようだ。なぜなら今年は異常ともいえる打高投低だからだ。まだ確証はないが、もしも本当ならば怖い話だ。果たして、歴史の本が出るときには記載されているのかどうか気になるところだ。

現時点で本がない以上、どうすればよいのか。台北の新荘球場には小規模だが、野球博物館があるという。そこを訪れるか自分の足で探しに行くしかなさそうだ。ぜひ、台湾プロ野球関係者には野球関連本の増加をお願いしたい。             

アジア野球カテゴリの最新記事