試合の雰囲気をぶち壊す出来事。
去る1日まで韓国で行われていたリトルリーグワールドシリーズ「アジア・太平洋予選」は地元・韓国が台湾を破り、2年ぶりの優勝を飾った。試合中は審判のジャッジで揉めたようだが、無事に終わったようだ。これで8月のアメリカ決戦に備えることになる。
時を同じくして台湾の南に位置する屏東ではジュニアリーグ(13歳から16歳)のワールドシリーズの出場権をかけて6ヵ国が激突。参加していたのは台湾・中国・香港・インド・フィリピン・グアム北マリアナ諸島だ。
写真:会場となった屏東球場
既に6月28日から大会が始まっており、総当たり戦で予選と決勝を行う。とはいえ、わずか6ヵ国のため決勝は1位と2位、5位と6位といった順位が近いチーム同士がもう1度対戦していた。昨日3日がその決勝でアメリカ行きが決まる試合が現地で話題になっている。
最終戦に登場したのは予選を5戦全勝で通過した台湾と4勝1敗だった中国だ。 両者は政治面で冷戦状態が続いているため、仲がよいとは決していえない。しかし、政治とスポーツは別物だと捉えるべきだがこれを球場内に持ち込んでしまったファンがいたのだ。
三塁側だった台湾の応援。そこに10人が「台湾就是台湾(台湾は台湾であって中国ではない) 」という横断幕が掲げた。この影響もあり本来、14時開始だった試合が50分遅れてのスタートとなってしまった。
険悪ムードも懸念されていたものの、開始時間が遅れた以外は予定通りに行われた。結果は台湾が10対0と中国を圧倒した。しかも5回コールドで完全試合のおまけつきだ。
結果は完全に実力差だとして、試合前にされたことを中国は怒ってもよいはずだが、そんなことはせず律儀にスタンドのファンに対して感謝の気持ちを伝えた。同じく横断幕を掲げて次のようなメッセージを送った。
「台湾のファンのみなさん、ありがとう。愛しています」
敗れたとはいえ、予選で4勝した実力は今後のためになるだろう。チームを率いたウィリアム・ゴルダー監督も台湾のファンに対して感謝している。
「野球は国際的なスポーツ。私たちも参加国として観に来てくれたファンによい一面を見せることができたと思う。これも応援してくれたファンのおかげだ。感謝したい」
今回の中国はメジャーリーグアカデミーに所属している選手が入っていたようで、この試合に先発した投手は最速136キロを投げていたそうだ。 まだまだ発展途上の国だけあって今後が楽しみな国でもある。来年の大会ではもう1度、チャンピオンを目指す。
試合自体はあっけない結果に終わったが、雰囲気をぶち壊しにしたのは試合前の横断幕だ。いくら相手が中国であってもグラウンドでプレーする選手達にとって悪影響だ。プレーしているのは中学生から高校生の子供たちだというのになぜ、そのようなことをするのか理解できない。球場は抗議をした10人の私物ではない。
そんなに中国に対して主張したいのなら外でデモをすればよい。
政治とスポーツは切り離して考えたい。この一件で来年のWBCで台湾対中国が観たくなった。一体、どのような雰囲気になるのだろうか。
出典元:
http://udn.com/news/story/2/1802325