初勝利を狙うも。
今年11月にメキシコで開催されるU23ワールドカップ。14年に第1回大会があったが、なぜか名称が「21U」から変更になった。
連覇を狙う台湾代表は5月頃からチームを編成し、数多くの試合をこなしている。6月には巨人三軍と台湾・台中で戦い、2勝2敗と引き分けに終わった。他にもアメリカ大学選抜やオランダでハーレム大会に参加。本番に向けて準備を進めてきた。
そして12日から巨人をはじめとするプロ4球団との練習試合のために台湾U23代表が来日している。
写真:ベイスターズ球場
初戦となった14日の巨人三軍戦は3対3の引き分けに終わった。その翌日は場所をベイスターズ球場に移し、横浜DeNAベイスターズ二軍と対戦。自身はこの試合を観に行った。横浜DeNAの先発は熊原健人、一方の台湾代表は廖乙忠(リャオ・イーチョン/開南大)だ。
廖乙忠は宮崎・日南学園に在籍したことがあり、以前は日本のドラフト候補でもあった。現在は台湾の大学でプレーを続けている。ちなみに彼を指導するのは郭李建夫(元阪神)で今回の台湾U23代表でも監督として来日中だ。
試合開始は13時。しかし、自身は台湾時間(14時)に合わせて移動していたため、球場に到着した時には既に勝負は始まっていた。 ちなみに4回裏の攻撃途中だったことから前半の攻防を見ることができなかった。試合詳細はファンの方にお任せするとするとして、選手の試合中の様子や周辺の様子をお伝えしたい。結果は5対0で横浜DeNAが勝利した。
スコアボードからも見てとれるように8回まで2対0とロースコアで試合が展開されていたが、8回に登板した陳品学(チェン・ピンシエ/インディアンズ1A)がに3暴投など制球に苦しみ、3失点した。 スタンドにいたファンの約9割はベイスターズファンのため、得点シーンに喜んでいたがボール球が多い投球に所々で飽きる声も聞かれた。
試合中は選手アナウンスはあるが、スコアボードに名前が出ない。日本のチーム同士ならば背ネームで誰なのかわかるが、台湾代表のユニフォームは背番号しか書いていないため不便だ。そのため一塁側から観客席に向かう階段下には両チームのスタメン表が貼られていた。
台湾の選手の表記はもちろん中国語だ。発音が難しいため、ファンのために名前の隣に読み方も記載してあった。これはとてもありがたい。ちなみにメンバーをみるともう1人、日本でプレーしている選手がいた。それは高校時代に青森・八戸学院光星に在籍した蔡鉦宇(ツァイ・チョンユウ/拓殖大)だ。彼は14年春のセンバツに出場した経験も持つ。
試合中に台湾側のベンチに目を向けると1人、台湾人ではない海外出身者が近くに座っていた。80年台に日本ハムにいたトミー・クルーズだ。元々、台湾プロ野球の中信兄弟でコーチを務めていたが途中で帰国したと聞いていた。日が経たないうちにいつの間にか戻ってきていた。14年の21Uでは打撃コーチもしていたこともあってアマチュア選手達とも顔なじみで信頼も厚い。
クルーズは試合が終わるまで同じ場所からほぼ動くことはなかった。じっくり選手達の打撃をみていた。 日本を離れて20年以上の経っているが久々の日本は彼の目にはどのように映っただろうか。
試合後には両チーム同士が1人1人と握手を交わす。これこそ国際試合の醍醐味だ。5分ほど続いたと思う。ここで意外と来日している台湾人選手がいることに驚かされた。
台湾U23代表を率いる郭李監督は試合後に次のコメントを残した。
「今回は日本プロ二軍チームとの対戦だった。相手は一軍経験もある投手が登板して誠意を見せてくれた。感謝している。しかし、自軍は何度も得点の好機を逃してしまったことが悔やまれる。勝負を決定づける場面をモノにできるどうかによって試合の行方が決まるのだ」
バスで宿舎へと戻った選手達。帰る前に彼らは見送りをする日本人の女性ファンの声援に笑顔で応えていた。中には女性を動画を撮影していた人もいたという噂もある。
そんな「オン-オフ」の切り替えが早い台湾代表は本日16日、再度ジャイアンツ球場に戻り巨人二軍と対戦する。
自身も観客席のどこかにいる予定だ。