【最後の勇姿】台湾の4番・陳金鋒の引退試合。背番号52よ、永遠なれ

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歴史的1日。

昨日18日、台湾では多くのファンが涙した日となった。なぜなら台湾人初のメジャーリーガー・陳金鋒(チェン・ジンフォン/Lamigo)の引退試合が行われたからだ。この日、本拠地の桃園国際球場には台湾野球の発展に大きく貢献したレジェンドを最後を見届けようと20052万人が足を運んだ。これは1試合における歴代最高の入場者数となった。

 
映像:球界関係者からの惜別メッセージ
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=FAoH7nNQShk&feature=youtu.be&t=7m33s) 

陳金鋒は現在38歳。02年に台湾人初のメジャーリーガーとなった。若い頃は自慢の長打力はもちろん足も速く、1A時代には30本塁打31盗塁を記録している。06年からは台湾に戻りLa newベアーズ(現Lamigo)に入団すると、初年度からいきなり打点王に輝き、強烈な印象を残した。近年は不調だったが、今年1月に引退を表明してから打棒復活。昨日の試合前まで打率3割 本塁打13と辞める必要が全くない成績だった。

 特に国際大会にはめっぽう強く、各国のエースから本塁打を量産している。98年のアジア競技大会でパク・チャンホ、04年のアテネ五輪一次リーグでは上原浩治、07年北京五輪予選ではダルビッシュ有と全員が後にメジャーを経験している選手達だ。結果はもちろん、多くのファンが「台湾代表の4番といえば彼しかいない」と証言するほどその存在感は別格だ。

 そんな偉大な人物が引退する。5月、もしくは6月頃に前売りチケットが発売されると当日中に即完売したという。Lamigoのチケットは台湾のファミリーマート内で購入可能になっているが、自身が7月に台南で確認した際には購入画面の表示に9月18日のものはなかった。

昨日の試合前には引退記念グッズの販売や彼の軌跡を振り返る特別展示など1秒1秒が思い出に残るようなイベントが行われていた。現地には数多くの友人が足を運んでおり、写真をSNSに投稿してくれていた。自身は行くことができなかった分、とても羨ましい。

肝心の試合は果たしてどうなったのか。陳金鋒は4番・指名打者として登場して結果は4打数無安打、3三振と二飛、四球に終わった。 彼の応援歌は本塁打を期待するものだが、この日はいつも以上に期待度が大きかった。応援ボードが配布され、打席に入るとそれを掲げる。球場全体のファンが一体となってボールがスタンドに消えていく瞬間を待っていたのだ。残念ながら叶わなかったが、歴史に残る引退試合に立ち会うことができた2万人超のファンにとって貴重な体験となったことだろう。

試合後にはセレモニーに行われ、球界関係者からもメッセージが送られた。日本からは松坂大輔(ソフトバンク)、上原浩治(レッドソックス)そして高橋由伸(巨人監督)が登場した。その内容は上記のリンクとして貼っている映像だ。

ちなみにこの試合はもう1つ注目すべき出来事がある。対戦した義大ライノズの高國輝(ガオ・グォフェイ)が本塁打を放ち、通算100号を達成した。これまで陳金鋒が持っていた球界最速記録を塗り替えたことになる。まさしく世代交代を印象づけた試合だった。

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選手としては引退しても球界への貢献はこれからが本番だ。プロ野球の歴史ではまだ30年も経っていない台湾はまだまだのびしろがあるリーグともいえる。彼の今後はまだ未定だが、ぜひとも台湾はもちろんのこと、日本との架け橋にもなってほしい。台湾代表の4番の勇姿は一生忘れない。

背番号52は永遠に。ありがとう陳金鋒。

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(写真は現地観戦した友人から拝借)

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