【現地取材】インドのソフトボールを観てみた

NO IMAGE

通じるソフトボール。

インド取材2日目。今回も友人を頼って取材に出掛けた。今回の友人は約2ヶ月前に行われたリトルリーグワールドシリーズ予選でインド代表のコーチを務めていた。彼は大学のスポーツコーチでもあり、学校の部活を見学した。

image

案内してくれたのはスポーツの総合施設。ここではソフトボールやバトミントンといった多種多用の競技が行われている。その中でも男女ソフトボールを見た。

image

image

守備練習をはじめ、トスバッティングなど日本の選手と同じ練習の数々。特に女子の中には世界大会にも出場経験がある選手も在籍しており、チーム全体としても力は相当のものだ。

image

男子に目を向けて見ると面白い練習をしていた。指導する別のコーチに話を聞いたところ名前は「ワンピッチ」という。その内容はその名の通り、ただ1球だけで投げて打撃・守備練習をするものだ。これはゴロを打つことだけが許されており、ファウルやフライを打った時点でアウトとなる。

image

image

image

使用しているのは専用グラウンドではないため、練習時間はわずか3時間と制限されてしまう。そこで考えついたものが「ワンピッチ」だという。これなら1球の結果が左右される競技である野球やソフトボールにおいて1球の重みを時下に感じることができる。とてもよい方法だ。

練習を見ていると途中で友人が選手を呼び、打撃指導を始めた。聞くところによるとノーステップで打つことを教えていたそうだ。熱血指導で指導を受けていた選手も直立不動だ。この光景は日本と同じだった。

image

コーチに競技発展のために必要なことを聞いてみると一言「道具」と言っていた。インドでの道具調達は主にバンジャブという地域から仕入れるというが、これらはすべてコーチや関係者がかき集める。日本のように選手個人が道具を購入するという形は存在しない。またインド製のグラブは品質が悪く、約2年で壊れてしまうという。このような理由から日本製で丈夫な道具を求めている。以前「DRC」という日本企業が支援したこともある。
特に必要なのはピッチングマシンだそうだ。

コーチ陣の事務所には男女ソフトボールで獲得したトロフィーが並んでいた。たとえ国内では強くとも海外で試合をするとコテンパンにされてしまうという悩みがある。教える人材は揃っているが、今は質のよい道具が必要だ。

ちなみにこの学校には野球部はない。インド人は野球よりもソフトボールの方が好きだ。インド野球連盟はあるが、国内であまり親しまれていない理由は連盟関係者が仕事をしないことにあった。メンバーは何年経ってもほぼ同じ面々で成果もあまり挙げることができていない。昨年2月に行われた西アジアカップで3位になったが、参加国が少なかったこともあってツキもあったからと友人は断言していた。

昨日、投球を見せてくれた友人もソフトボールとの二刀流だ。力のあるものはニュージーランドに行き、強化プログラムに参加する。元々、彼もそれに参加する予定だったが、自身と出会ったことで日本で野球をするためにソフトボールを一時休止すると決めたようだ。

この2日間でインドに野球を普及させるには連盟関係者の意識改革が先であると痛感した。まだまだ時間がかかりそうだ。

アジア野球カテゴリの最新記事