悔いのない終戦。
韓国プロ野球は昨日11日までLGツインズ対KIAタイガースによるワイルドカード決定戦が行われていた。現地では上位5位までのチームがポストシーズンに進出でき、下位チーム同士で対戦を重ねていく方式を採っている。これは日本のクライマックスシリーズと制度が似ている。
肝心の結果は2勝1敗でLGの勝ち抜けが決まった。既に1勝のアドバンテージを持った状態で臨んだが、10日の第1戦に敗れてタイにされたものの、 その翌日の試合では勝利し待つ、3位のネクセンヒーローズとの対決となる。
その一方で敗れたKIA。今季最後の敗戦投手となったのは惜しくも日本球界でも活躍したあの選手だった。
映像:古巣に帰ってきた林昌勇
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=QvZXw_3FZog)
以前はヤクルトで160キロの直球を武器に抑えを務めていたイム・チャンヨンだ。彼は今年から故郷であり、古巣でもあるKIAタイガースに移籍。昨年の海外賭博の影響で一軍での試合出場は7月からだったものの、チームの守護神として34試合に登板し、3勝3敗15セーブ 防御率4.37の成績を残した。
40歳を迎えたが直球は現在でも150キロを超えており、 力はまだまだ健在だ。
ちょうど今頃はサムソンライオンズの抑えとして最多セーブのタイトル獲得が決まり、韓国シリーズに向けて準備をしていただろう。なぜなら海外賭博のニュースはまだ韓国国内には流れていなかったからだ。 何もなければプレミア12韓国代表でも守護神として出場しているはずだった。この1年で環境は変わったが、無事にポストシーズン進出の原動力になることができた。
去る5日のサムソン戦は彼自身の今季レギュラーシーズン最終戦となった。9回途中から登板し、2/3回を投げて見事、セーブを挙げた。この勢いでポストシーズンに突入することになり、勢いにのった。
10日に迎えたワイルドカード決定戦 第1戦。イム・チャンヨンは4対2とリードしている状態で最終回にマウンドに上がった。たとえ、勝っているとはいえ、LGにはアドバンテージの1勝が与えられているため、KIAは負ければ16年シーズンは終了する窮地に立たされていた。そこは経験豊富な守護神の魅せどころだった。
打者3人を抑えるために要した球数はわずかに5球。 無死一塁で迎えた最後の高めの球は打者・ヒメネスの打球を詰まらせ1-4-3の併殺打に打ち取った。ガッツポーズのイム・チャンヨン。
この日の先発は15勝を挙げた最速155キロ右腕のへクター・ノエシで7回 被安打5 失点2で役割を果たして勝利投手となった。
翌日11日は日本球団も獲得を狙っている左腕エースのヤン・ヒョンジョンが先発のマウンドへ。自身は連勝で勝ち抜くと予想していたが見事にそれは外れた。
ヤンはチームの期待通り、6回 被安打5 失点0と好投する。その後はユン・ソクミンとつなぎ、 イム・チャンヨンは8回途中から2連投となった。
死球や盗塁で1死ニ・三塁とピンチを招くも三ゴロとチームメイトもファインプレーでなんとか無失点に切り抜けた。しかし、回またぎとなった9回、右安を浴び、そのまま盗塁を許して無死二塁。続く打者を敬遠して塁を埋め、次を捕邪飛に抑えたところで降板となった。
しかし、その後を引き継いだ投手は犠飛を打たれ、KIAはサヨナラ負けで今シーズンが終了した。
試合後、イム・チャンヨンはこの1年を振り返って次のように話している。
「敗れはしたが、18年ぶりの古巣に帰ってきた自分をチームに馴染ませてくれた仲間に感謝したい」
今年1月には移籍先も決まらず、野球人生の岐路に立っていた男は処分を乗り越えて「秋を野球」を満喫した。まさしくこの1年間の様子はドキュメンタリーにする価値があるだろう。イム・チャンヨンは来年、開幕時から一軍のマウンドにいることを期待したい。次に目指すは最多セーブのタイトル奪還だ。
出典元:
http://sports.news.naver.com/kbaseball/news/read.nhn?oid=241&aid=0002602374