国際大会の重圧は大きく。
3月から始まったWBC。侍ジャパンがアメリカに敗れたことでアジア勢が全滅となった。しかし、メジャーのスター軍団と互角に戦った選手達の活躍に感動した。勝利はできなかったが、これでより日本は強くなることができる。15年のプレミア12のときにも感じたが全勝優勝しては単純につまらない。決勝ラウンドまで6戦全勝だったが、わずかこの1敗だけで優勝を逃すことになるのだから国際大会は面白いと同時に怖いものだ。
就任当初から采配を心配されていた小久保裕紀監督もこれで退任となる。今回のWBCで優勝は逃すも戦績だけをみれば過去3回大会よりも勝率はよい。なぜなら1敗しかしていないからだ。ひとまずお疲れさまと言いたい。
小久保監督は大きな重圧に耐えた。しかし、海の向こうの台湾では一大事が起こっている。代表チームを率いた郭泰源監督が肝炎により緊急入院したという。
台湾代表は韓国・コチョクスカイドームで行われた一次ラウンドで3戦全敗と喫して早々と大会から姿を消した。次回大会からの予選スタートがかかった最終戦で地元・韓国代表と延長に及ぶ接戦を演じたが敗れてしまった。打者達の力は存分に発揮されたものの、以前から心配されていた投手陣の整備が上手くいかなかった。
監督就任から約5ヶ月が経ち、やっと重荷がおりたと思った時点でのダウンとなってしまった郭監督。代表の一員だった胡金龍(フー・ジンロン/富邦)によると本戦前から様子がおかしかったと証言している。「神戸での合宿のときから体調が悪かった。その状態のままで韓国に行き、室内外の温度差に対応できなかった」
診断によるとA型肺炎でしばらく安静が必要だそうだ。彼は今季から新球団・富邦ガーディアンズの球団顧問に就任する予定だったがリーグ開幕を目前に控えた状態で残念な事態となってしまった。14年にソフトバンクの投手コーチを退任後、台湾に戻って統一ライオンズの監督・ヘッドコーチを務めていた。大きな国際大会があると毎回のように揉めるプロアマ同士だが、元々は別の人物が務めるはずだった指揮官の座に急に就くことになったのだ。
昨年の統一は成績不振に終わり、責任をとって辞任。WBCも控えていることも関係しての退団だった。その後、郭監督は選手選考に奔走した。アメリカまで行き、王建民(ワン・チェンミン)に出場要請をしたが、残念ながら本人の意向で代表合流は叶わず。他にアメリカで活躍する選手達、ほぼ全員に断られて思うようなチーム編成ができずにいた。
ますます窮地に追い込まれいく。ほぼ休むことなく代表チームは2月初旬からオーストラリア合宿・キューバとの壮行試合・神戸合宿と過密日程が続いていった。なんとか本戦が終わるまでは体は耐えたがついに限界が来た。
これを受けてしばらくは休養に入る。WBCが終わってからは侍ジャパン同様に代表チームの常設に動いているという台湾球界。話によると今後の国際大会の指揮はプロ側が担っていくという。今回、Lamigoモンキーズの選手が大舞台に参加しなかったのはアマ側がWBCの主導権を握ったことが原因だ。このままでは事あるごとに監督や選手選考がかなりの時間を要する。
今回の郭監督の件については残念なこと。一言で言ってしまえば「体調管理ができなかった」に過ぎないが、これで台湾の代表常設化の実現する日が早まるかもしれない。長期間、同じ人物に指揮官を任せっきりというのは良くないのだ。
出典元:
http://sports.ettoday.net/news/889899