チームを率いるのは台湾の「野村克也」だ。
今年11月に東京ドームで初開催となる「アジアプロ野球チャンピオンシップ」に向けて参加国の日本・韓国・台湾は少しずつ準備を進めている。既に日本は稲葉篤紀、韓国はソン・ドンヨル監督が指揮を執ると発表されていたが、台湾だけがまだ決まっていない状態だった。
そして本日8月7日、Lamigoモンキーズの洪一中(フォン・イージュン)監督が今大会の台湾代表を指揮すると発表された。
洪監督は主に兄弟エレファンツ(現中信兄弟)の捕手として台湾プロ野球草創期を支えた人物でこの人を一言で表すならば「台湾の野村克也」がピッタリだ。現役時の通算成績は13年間で打率.274 本塁打47 打点452だ。引退後は指導者の道を歩み、Lamigoモンキーズを前身のLa Newベアーズ時代から約12年間も球団に関わっている。もう選手以上にチームの顔になっているのではないか。
日本にも何度も台湾代表を率いて来日したことがある。最近では2月末に行われたWBC壮行試合で「大王」こと、王柏融(ワン・ボーロン)が則本昂大(楽天)から特大な一発を放った場面が印象的な試合だった。彼を指導しているのはこの洪監督自身なのだ。
台湾に戻ってからは去る5月21日、本拠地の桃園国際球場で行われた富邦ガーディアンズ戦での勝利によって監督通算700勝に到達した。この数字は台湾球界で初めてのことで洪監督が歴代最多勝利数の監督になった。その後、Lamigoは前期優勝を果たし、現在は後期も優勝する「完全優勝」に向けて戦っている最中だ。
そして本日行われた「アジアプロ野球チャンピオンシップ」の台湾代表監督就任発表会見を開いた洪監督は肝心の戦力面について話していた。台湾といえば長年の課題となっているのが「先発投手の弱さ」だ。3月のWBCでは日本組のチェン・グァンユウ(千葉ロッテ)や郭俊麟(西武)らに頼らなければ戦力維持ができない状態で結局、一次ラウンド全敗で次回大会からは予選からのスタートなった。
ただし、今回の大会では出場選手はU-24やプロ3年目といった制限が設けられるためにある程度は戦力の均等がとれるだろう。洪監督によれば「先発投手よりも中継ぎや抑えのほうが力がある。やはり課題は先発だ」と本人も先発投手については危機感を持っているようだ。
また、オーバーエイジ枠もあるため、先発に関しては王溢正(ワン・イーゼン)も参加することができる。やはり優勝を狙うためには彼をはじめ「日本組」に頼るしかないのだろうか。今後の国際大会を勝ち抜いていくためにも台湾球界で自前で先発を育成することが必要になる。昨年、統一ライオンズには西口文也コーチが期間限定で指導しに現地に行っていたが、なかなかすぐに結果を出すのは難しいことだ。
ちなみに本日の会見では先発投手を誰に任せるのかについては言及しなかった。現段階はシーズン中のこともあり、投手の能力を研究している時期だという。もちろん本番までには万全な状態になっていると思うが、果たして誰が初戦のマウンドに立つのだろうか。台湾の初戦は11月17日金曜日で相手は韓国だ。日本とはその翌日に対戦することになっている。
余談ではあるが、台湾が代表チームを組織する際に毎回のように問題となるのはチーム呼称について。今回も「チャイニーズ・タイペイ」として出場するのか、それとも「台湾」として出場するのかについての話し合いが始まっているという。
※当ブログでは今後、タイトル上では「アジアプロ野球チャンピオンシップ」のことを「ACS」と表記することにする。
出典元:
http://sports.ettoday.net/news/983705