【現地観戦】今季初の台湾プロ野球。Lamigoが新記録の72勝目

NO IMAGE

崩れた元メジャーリーガー。

本日早朝に台湾から帰国した。今回の野球旅では「台湾内に存在するメジャーリーグ」をテーマにして出かけたものの、前記事のグッズショップしか訪問することができなかった。その代わり、最低限と言える台湾プロ野球の試合観戦はできた。

今回、観戦したのは9月19日に行われた富邦ガーディアンズ対Lamigoモンキーズ。場所は台北にある新荘球場だ。今年から新球団としてリーグに参加している富邦のホーム球場として使用されており、現地在住の友人によると来季以降は富邦の正式な本拠地の1つになるという。

IMG_7476
写真:試合が行われた新荘球場

主に台北で試合が行われているのはこの新荘の他に天母球場がある。天母は15年のプレミア12で侍ジャパンがメキシコと戦った場所だ。今回訪れた新荘球場は台北駅から約20分ほどで最寄り駅の新荘駅に着く。そこから徒歩では約10分から15分ほどかかるようだが、初訪問だったために駅からタクシーで向かった。

IMG_7437
IMG_7439
写真:チケット売り場

この日は現地時間18時35分(日本時間:19時35分)だったため、球場に到着した時には既に周りは真っ暗になっていた。タクシーで降ろされた場所がすぐ球場の目の前だと思っていたところ、実際には体育館と書いてあり、球場はそこから少し距離があったために歩かなければならなかった。この場所は野球だけではなく、テニスやバスケットなど多種のスポーツができる貴重な施設のようだ。

IMG_7433
写真:チケット料金

試合日程をみると今年、富邦は新荘球場でのラストゲーム。また、対戦相手のLamigoは試合前までシーズン71勝を挙げており、この試合で勝つとリーグ新記録となる勝ち星を挙げることになっていた。これは試合途中で気づいたことではあるが、その前にチケット料金が値上げしていることが気になった。昨年までは大人内野席は300元だったはずだ。それでも実際に購入したチケットは子供内野席の300元になっていた。見た目の問題のなのか100元得した形となった。

IMG_7472
写真:富邦側の応援スタンド

台湾プロ野球の応援の中心は日本と逆で内野席であり、ここにチアリーダーもいる。社会人野球の応援と考えればイメージは近い。やはりホーム球場ということもあってファンは集まるのだが、台湾一の応援で有名なLamigoの応援席はとても寂しかった。

IMG_7497
写真:Lamogoの応援スタンド

応援団はいるが、肝心のチアリーダーがいない。基本的にビジター戦では登場しないことになっておりここでは主に応援団とトランペットで応援を盛り上げる。普段は本拠地の桃園国際球場でLamigoを観てきただけあってこの変貌ぶりには驚かされる。

そして肝心の試合。富邦の先発はスコット・リッチモンド。194センチの長身から放たれる角度のある直球を武器に昨年は9勝、今季は7勝を挙げている。

IMG_7464
写真右:先発のリッチモンド

この日のリッチモンドは球速こそ130キロ中盤から140キロ前半とあまりスピードこそ出なかったが、打たせてとる投球で8安打を浴びるも5回2失点、与四球はわずかに2と安定していた。

その一方でLamigoの先発はザック・セゴビア。彼は昨年11月に行われた侍ジャパンのWBC壮行試合でオランダ代表の一員としてマウンドに立った選手だ。試合前までに2桁13勝を挙げており、エースとして投手陣をけん引している。

IMG_7475
写真:Lamigo先発のセゴビア

リッチモンド同様に制球よく、あれよあれよと富邦打線を抑えていく。140キロ中盤の直球を無事に6奪三振、2失点も四球なしとこちらも先発としての役割を果たしていた。共に観戦した友人によれば「台湾球界が助っ人投手に求めるのは長いイニングを投げられる先発投手」だという。まさしくセゴビアは理想の助っ人といえるだろう。

試合は2対2で迎えた8回表、Lamigoの攻撃時にこの男がマウンドに立った。そう、元メジャーリーガーの郭泓志だ。

IMG_7488
写真:マウンドに立った郭泓志

今夏に電撃入団したが一軍昇格後はなかなか調子が上がらず試合前まで0勝3敗 防御率6.19と散々な成績を残していた。しかし、実際の投球をみると球速は149キロを出しており、球威的にはあまり衰えを感じさせなかった。だが、その自慢の速球の制球が高めに浮く場面が多く、登板からいきなり二塁打を打たれ、代打には勝ち越し適時打を打たれていた。それでもこの回のアウトはすべて三振と底力を見せた。

勝ち越したLamigoは勝利の方程式で逃げ切り、3対2で勝利。チームはリーグ新記録の72勝目を挙げた。

IMG_7503
IMG_7504
IMG_7506

試合をみるとLamigo打線はリッチモンドの角度ある直球、郭泓志の149キロとスピードボールに滅法強く振り負けしてしなかった。その結果、上の写真にもあるように2桁15安打を記録。また、今春の侍ジャパンの壮行試合で注目を浴びた王柏融は「3番 中堅」としてスタメン出場し、2打数1安打1得点と活躍した。

IMG_7470
写真左:二塁打を放ち談笑する王柏融

この試合から2日経って改めて球界のタイトル争いを確認すると残念なことに最多勝争いトップ5はすべて助っ人投手だ。1位はマイク・ローリー(富邦)とセゴビアの14勝。ポジティブに捉えればこれが台湾野球だといえるが、国際大会でトップチームがなかなか成績を残すことができない原因でもある。最近発表された世界ランキングで台湾は4位だったが、これもアマチュアが結果を残しているおかげもあって上位にいることができるのだ。

打線は打高投低だけあってあまり心配はしていない。近々、CPBL主催の投手トレーニングイベントがあるようだ。募集要項をみると12歳以上の野球選手と書いているが、それよりもまずプロ投手全員に対して行ったほうがよいのではないか。

ファンとして試合をみるならば打撃戦で手に汗握る試合だ。11月に開催されるアジアプロ野球チャンピオンシップ(ACS)では台湾投手陣の本当の実力が明らかになることだろう。チームを率いる洪一中監督も「日本や韓国の方が力が上」と認めている。

今回観戦した試合で点の取り合いを見られなかったのも2人の先発投手の出来が良かったからだ。11月の試合では台湾全球団から選手が選抜される。今回の観戦試合でACSへの不安を感じてしまった。

IMG_7512

アジア野球カテゴリの最新記事