次なる目的地はどこか。
現在、台湾ではウインターリーグが行われており若手選手達が武者修行を行っている。その一方で各国リーグはFA選手の移籍決断や戦力外など来季に向けた戦力整備が進んでいる。その中で台湾球界では日本でもプレーしたベテランに対して厳しい冬が訪れている。それが元楽天のインチェだ。
映像:楽天時代のインチェ
(出典:You tube https://www.youtube.com/watch?v=8j9IFSgo1jc)
本日11月30日、Lamigoモンキーズは6選手に戦力外通告を行い、その中にインチェの名前があった。36歳になった大ベテラン左腕は昨年、中信兄弟をクビになったが今年1月にLamigoと契約を果たして台湾球界では6球団に在籍することになった。しかし、若手の台頭もあり1軍ではわずか11試合の登板に終わり、0勝0敗 防御率5.40の成績を残した。
インチェといえば06年から3年間、楽天に在籍。野村克也監督の元、先発ローテーションの一角を期待されたが、制球難もあり登板機会に恵まれず1勝も挙げることができなかった。当時は林恩宇とともに台湾人投手コンビを形成したが、来日前のような超人的な能力を発揮できず09年に再び台湾に戻った。
日本球界を去ってから約8年経った今では台湾球界で貴重な存在となっている。なぜならインチェは今は亡き球団に在籍していた数少ない選手なのだ。彼の経歴を振り返るとプロ入りを果たした99年当時、台湾球界は現在のCPBLと台湾メジャーリーグ(TML)の2つのリーグに分かれていた。インチェはTMLに属していた高屏雷公に入団し、3年目の01年に記録した13勝と115奪三振はリーグトップだった。その後、このリーグは03年にCPBLと合併し1リーグ制に戻った。現役選手ではTMLを経験した唯一の選手だった。
04年には誠泰コブラズに入団。この時の指揮官は元西武の郭泰源で投手王国と呼ばれたチームの中心選手として初年度は防御率1.73と203奪三振でタイトルを獲得、2年目も最多奪三振のタイトルに輝き、チームの台湾シリーズ進出に貢献した。結果的に興農ブルズにスイープされたがこの年の活躍が楽天入団につながった。
楽天を退団し、台湾に戻ってきた09年からは05年の台湾シリーズで敗れた興農に入団。この年は6勝6敗と調子は上がらなかったが、10年には高津臣吾や正田樹らとともに台湾シリーズを制覇した。球団名が義大ライノズに変わってからも6年間在籍し、長年に渡ってチームを支えた。最終的には今はない高屏や誠泰、興農、そして義大の4球団で投げていたことになり今はとても貴重な選手なのだ。
今回、戦力外となったインチェは「現時点ではゆっくり休むことを優先」と話しており去就については明確になっていない。どうやら来年1月に来日し指導者になるための勉強をする話もあるようだ。果たして来季も現役を続けるのか、それともコーチに転身するのか動向に注目していきたい。
出典元:
https://sports.ettoday.net/news/1062806