2019年1月、ラオスで開催された「ラオス-韓国国際野球大会」は現地での野球競技認知度アップ、選手交流を目的とした大会だ。勝敗は重視しないものの、参加国にとっては実践経験を積む貴重な機会となった。
ラオスは2018年にインドネシアで開催されたアジア大会で国際大会デビューを果たしたものの、タイとスリランカに敗れ、初勝利を逃している。投球や打撃、守備などすべての面においてのレベルアップが必要とされている中で、次なる課題となっていたのは野球環境の整備だった。
そこで毎年恒例となっている今大会と併せて、日々の練習を重視していた。1月時点の情報では平日夜から約2時間、週末は午後から5、6時間ほどの練習をしていた。実はラオスには室内練習場なるものがある。会場となったサッカー場から車で約15分ほど行ったところにカフェと日本でいうバッティングセンターが併設されている場所がある。
上の写真でうっすらと見えている選手はドジャースのクレイトン・カーショウらメジャーリーガー達。この中には来季からブルージェイズでプレーするリュ・ヒョンジンもあった。実際にここでバッティングセンターのように球を打っているのかは不明だが、よくここで守備練習や素振りなどが行われている姿を確認している。
このような立派な設備の数々に滞在していた自分は驚かされるばかりだった。なぜ、ラオス野球に対して情熱的な支援を続けているのか。大会期間中、イ・マンスさんご本人に話を聞いてみたところ、次のような答えが返ってきた。
「野球は私の人生そのものなんです。野球から多くのことを学び、多くの愛を受け取りました。自分がこれまで経験したことをこれからの選手達に伝えたい。これは野球に対しての恩返しです」
イ・マンスさんは2014年からで本格的にラオス野球の支援を始めており、韓国とラオスを行き来しながらも継続している。元々、現地で野球普及をするにあたって道具集めや大会実施など発展計画を決めて動いており、球場をつくることが最終段階だと話していた。その後、2019年12月に国内初の野球場を完成させた。
実は球場完成の前に女子野球チームの組織や国内リーグ戦の実施など、こちらの予想を遥かに越えたスピードと行動力で着々と環境を整えた。後にここに書く予定の「SEA GAMES」に参加していた東南アジアの選手間でラオスの急激な成長が大きな話題になっていた。ちなみに女子チームは11月にマレーシアへの海外遠征を実施。マレーシアとの親善試合を行い、実践経験を積んでいる。
次なるラオスの目標としては、指導者の育成と国際大会(公式戦)初勝利になるだろう。現時点では2020年2月に6回目となる「ラオス-韓国国際野球大会」が実施される予定だが、公式戦の出場予定は決まっていない。可能性があるとすればアジアカップ、もしくは2年後の「SEA GAMES」になると予想している。今はとにかく実践経験を欲している段階。ぜひ、ラオスと試合がしたいというチームがいたら、ぜひご連絡を。
自分は来年2月に再度、ラオスに行く予定だ。現地の最新情報を得ることはもちろん、球場をこの目で見るために。