【野球旅回顧】2019年2月-女子野球フェニックスカップ

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写真:香港で開催されたフェニックスカップ

前回で1月のラオス野球旅回顧録が終了。次は2月に香港で見た「フェニックスカップ」についてだ。上の写真で女子野球の大会であることは推測できるかもしれない。また、今大会は世界野球ソフトボール連盟公認(通称:WBSC)のれっきとした国際大会なのだ。

今年2月の開催でフェニックスカップは実に12回目(※香港棒球協会HPより)を数える。アジア女子野球の公式な国際大会は実に少なく、自身が知る限りではこの大会アジアカップの2つしかない。香港では毎年2月に女子、12月に男子の国際大会を主催していることもあり、海外の選手にとっても試合経験を積む絶好の機会となる。

現地では学歴はもちろん、仕事優先社会のために日本のように野球に集中する環境ではないものの、白球を必死に追う姿は世界共通だ。今大会は2月22日から25日にかけて行われ、5の国と地域から9チームが参加した。その内訳は日本をはじめ、中国、グアム、シンガポール、そして香港だ。日本からは関東硬式女子野球連盟のU15選抜と日本代表経験者や現役教員もいる大人チームが参加していた。また、グアムも2チームで、中国はさらにその上を行く3チームが出ていた。

大会会場となったのは坂の上に球場があり、香港野球においてメインの場所とされる「晒草湾(サイツォワン)球場」と「ライオンパーク球場」の2ヶ所。これらが現地で野球場と言える正式な場所となる。

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写真:香港にある球場の1つ「晒草灣棒球場」

肝心の大会はどうなったかと言うと、U15選抜チームが4戦全勝、そのうち3戦がコールド勝ちという圧倒的な強さで頂点に立った。決勝戦は日本の大人チームとの直接対決になるも8-5で逃げ切っている。こうして年齢制限した選抜チームはこのU15のみで他国は全員、大人だった。実際に対戦したグアムや中国の選手からは「本当に彼女たちは中学生なのか!?」と驚きの声が飛び交っていたのを鮮明に思い出す。

世界の女子野球界において、日本がトップの実力を持っており、W杯も6連覇している。日本と対戦する国々の選手に話を聞くと必ず返ってくるのは賞賛の言葉だ。

「日本の選手たちは素晴らしい技術を持っている。世界トップの日本と対戦することができて嬉しい。実際に対戦して今の自分たちに足りないのは何なのかを知るチャンスだ」

話を聞いていると共通しているのは、試合の結果以上に貪欲に技術をレベルアップしようとする前向きな姿勢だ。勝敗だけでいえば、日本が勝つと選手が認識している。敗戦の代わりに、今後のために未来につなげる行動をしているのだ。

また、女子野球の世界的発展のために次なる課題としては、試合経験の積み重ねが挙げられる。今大会に参加したチームはそれぞれの国に帰ってもいつも試合ができる訳ではないし、たとえできても同じ相手のために刺激がなく、モチベーションの維持にも苦労しているという。シンガポールや中国からは「ぜひ、日本ともっと試合がしたい」という要望もあった。

来年9月にはメキシコで女子野球W杯が開催予定。既に出場国は絞られてはいるものの、今後の発展のためにはより世界的な普及が必要になってくる。トップの日本が世界をけん引するというスタイルを継続しつつも、実際に日本の選手が海外に行き、野球教室など現地の選手と交流することがその第一歩なのではないだろうか。

日本は世界からリスペクトされている。これは実際に今年、国際大会を巡って実際に選手から聞いて知った事実だ。後はどれだけの要望に応えることができるかがカギとなる。

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