7月に見に行った西アジアカップについて振り返っている。こうした国際大会に行くと普段は見ることができない国々の試合を見ることができる。航空券を予約してパスポートを持って行けばどこの国にでも行ける。最近ではスリランカとパキスタンが日本で試合をしているが、インドやイラン、ネパールとバングラデシュはこうした西アジア地域に足を運ばなければ見ることはないだろう。
今大会で4位となったイラン。毎年のように連盟の資金確保が課題と言われてはいるものの、最近の西アジアカップにはコンスタントに参加している。大会本番までわずか4日しかなかったものの、守備の強さもあって勝利を手にしている。課題としては上半身だけプレーするため、打撃はもちろん、投球や送球の改善が必要となる。
イラン野球連盟は「ダルビッシュがイランで野球指導や実際に代表チームに入ってくれたら大きな発展に繋がる。ぜひ、イランに来てほしい」と話していた。実現するかは分からないが、面白い企画だ。
5位になったバングラデシュは念願の国際大会デビュー。ネパールを破って初勝利を飾ったこのチームは1人の選手が精神的支柱となり、躍動した。その選手の名はラフ・チョードリー。元々はカナダでプレーしていたものの、バングラデシュが大会に出ると知ると帰国し、代表入りを果たす。
試合では彼の安打が起点で得点したり、守備では主に遊撃を守り、1人で併殺を取ってしまうなどまさに言葉通りの中心選手だった。初勝利を飾ると大きく万歳をして喜びを爆発させた姿が印象的だった。既に40歳近い選手だが、今後は引退して指導者に転身するという。
最後に残念ながら最下位に終わったネパール。もちろん全試合を見ていたのだが、ネパールの選手達だけ動きに違和感があった。確実にアウトが取れるところでエラーをしたり、チャンスにことごとく凡退していた。大会期間中、ホテル内で選手を集めて会議があった。その内容は不明だが、明らかに険悪な雰囲気が漂っていたことを覚えている。
どうしてもバングラデシュには勝ちたかったそうだが、予想外の敗戦。この試合でいかに勝つことが難しいのかを実感する試合だった。
最近、ネパール野球を支援している「NPO法人ネパール野球ラリグラスの会」の体制が変わった。この変化が現地の野球発展のきっかけとなるか今後も注目していきたい。次回の西アジアカップではぜひ、勝利を見せてほしい。
これまで4位以下の参加国を簡単に紹介したが、イランのように西アジアカップでしか国際大会に出場できない国々もある。国内にはリーグ戦があるものの、さらに上のレベルでプレーしたり、対戦する機会がないため苦労していることを聞いた。大会限定ではなく、長期的にチームを見ることができる指導者がいればよいのだが、難しいようだ。
西アジア地域は危険度が高い影響があるのか、東アジア地域と比べると野球支援が薄いように感じている。ただ、お金がないで済ませるのではなく、実際にどのような環境下で問題が起こっているのかを知る必要がある。自身も次の西アジアカップまでには視察に行こうと思っている。