写真:SEA GAMES野球競技の会場となったクラークスポーツコンプレックス
「SEA GAMES」は一言で言えば東南アジア五輪であり、野球だけではなく、サッカーやバスケットボール、陸上など50種目が行われている。会場は東南アジア各国の持ち回りであり、節目の30回目を迎えた今年はフィリピン・マニラが舞台となった。
野球競技は12月2日から8日にかけて開催され、フィリピンやタイ、インドネシア、シンガポール、そしてカンボジアの5ヶ国が参加。試合会場となったクラークはグラウンドが4面あり、ソフトボールと共同開催された。周囲には宿泊施設も完備され、冬季は韓国の高校や大学のキャンプにもなっているという。
東南アジア限定の五輪というだけあり、各国の選手達は勝利、メダル獲得に対する執念が会場を包んでいた。大会結果から先にいうと地元・フィリピンが決勝戦でタイを15-2で下して優勝した。フィリピンは10月のアジア選手権にも出場し、格上の中国を下すなど力を付けてきている。大学野球を中心として、今後はユース世代の強化を目指している。
参加国の中で1番メダルに対して執念を燃やしていたのはシンガポール。メダルという明確な結果を残すことは政府からの支援を得ることはもちろんのこと、今後の野球発展を大きく左右する。実はこの「SEA GAMES」自体は30回目の大会だが、野球競技は5回目だ。その中でシンガポールは念願の初出場を果たしたものの、3位決定戦でインドネシアに敗れてしまった。
こうして国際大会で結果次第で今後の未来が決まる場合がある。今回、参加した5ヶ国にとってメダルを獲得できれば最高の結果だが、それ以前に国際大会を経験することを優先にするところもあった。それがカンボジアで、実に12年ぶりの野球競技出場ということもあり、出場選手のほとんどが大きな舞台は未経験。現状ではトップよりU15の方が強いという現実だが、これは今後の選手育成に向けて大切な試合でもあった。
東南アジア地域でも資金や道具、指導者問題など課題が山積みであるところがほとんど。中には国内リーグが存在するところありながらもなんとか持ちこたえながら運営されている。今後は国際大会に出場する機会が増えれば選手自身の大きな経験になるだろう。ぜひ、均等な機会が欲しいところだ。
「SEA GAMES」は2年おきに開催されることもあり、次回はベトナムが会場となっている。現時点では野球競技を開催するかどうかは未定だが、継続してほしい。ちなみに4年後のカンボジアではやる気満々のようだ。