写真:講師を務めた六角彩子選手
1月26日は非常に迷える日だった。なぜなら、東京では女子野球選手の表彰式、茨城ではBaseball5の体験会が同時に行われていたからだ。自身は前日までどちらに顔を出すか悩んでいた。結果的には茨城行きを選択。実際に体を動かしてみることにした。
という訳で茨城県日立市にやってきた。ここで開催されていたのは「六角彩子野球教室&Baseball5」。講師を務めた六角選手は女子野球W杯で首位打者やMVPにも輝いた実績を持ち、今季からは埼玉西武ライオンズ・レディースでのプレーが決まっている。また、現役選手でありながらもBaseball5の公認インストラクターとしても活躍中だ。
彼女の地元である日立市で行った今イベント。午前中は日立市民運動公園野球場での野球教室では56名の選手達が集まり、午後はその近くにある池の川さくらアリーナでBaseball5の体験会を開催した。ちなみにBaseball5は総勢90名が参加したという。
自身はBaseball5からの参加だったため、六角選手のルール説明をじっくりと聞いていた。その中で驚いたのは「アウトのなり方」だ。例えば野球で本塁打になる打球がアウトだったり、空振りやファウル1回だけでもアウトだそうだ。基本的に5人制とアウトの基準を除けば、ほぼ野球と同じルールと考えてもよいだろう。
準備体操を行った後は即、試合開始。参加者を1チーム10人ずつに分けて全9チームに分かれた。小・中学生や大人のミックスチームとなり、年齢関係なく競技を楽しんだ。
攻撃側は打者自らボールを手打ちするところから始まる。そして、走者は上の写真のように右側の白いベースを踏むことになる。守備側は一塁、二塁、三塁、遊撃、そして二塁ベースの少し後ろの場所を守るミッドフィルダーの5ポジションを守る。ちなみに捕手がいないため、走者のホーム突入の際にはほかの守備者が同時にカバーしなければならない。
こうして1試合15分ずつ、イニングで換算するなら5イニング制でサクサクと試合が進んだ。走攻守すべてを経験してみて、難しいと感じたのは守備だ。グラブを持たず素手でボールを捕るため、捕球や送球、そのスピード調整に苦労した。また、走塁では野球のようにリードする暇もなく、次々とボールが飛ぶため休むことができない。そのために大人は体力を一気に奪われるのではないだろうか。
たとえ送球ミスがあっても怒る人は1人もおらず、終始、和気あいあいとした雰囲気でBaseball5体験会が終了。最後の挨拶で六角選手は「みなさんにもオリンピックになれるチャンスがあります。遊びでもいいので、Baseball5を楽しんでください」と話していた。
そうなのだ。先日、2022年にセネガルで開催されるユース五輪にこの競技が採用された。つまり、今の小・中学生は代表選手になれる可能性がある。また、大人でも今年4月にマレーシアであるアジアカップに参加することができ、勝ち抜けば12月にメキシコであるW杯に駒を進めることができる。
Baseball5は年齢や野球経験などは問わず、誰でも自由に楽しむことができる競技だ。今回、体験会に参加して感じたのは「これが本来のスポーツの姿だ」ということ。元々、スポーツの語源はラテン語の「deportare」からきており、その意味は「気晴らし」や「遊び」だ。特別なしがらみもなく、本当の遊びなのだ。
気軽にプレーをしながら年齢関係なく、世界大会を目指すことができるのは画期的だ。日本ではこれから本格的な普及活動に入るが、今後は野球・ソフトボールに次ぐ第3の競技として浸透していくだろう。ちなみに日立市では今後「六角彩子杯Baseball5」を開催できるように調整していくという。
将来が楽しみなBaseball5。ぜひ、楽しくみんなでプレーしてみよう。