【願望】2020年-西アジア・中東の野球に対して思うこと

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写真:2019年西アジアカップで使用された球場

現在、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)加盟している国々は約160ヶ国。世界ランキングも含めてWBSCのホームページを眺めていると「果たしてあの国には野球があるのか」という疑問が湧いてくる。特に中東地域に対してその気持ちが高まる。

改めて同地域の加盟国を調べてみると、昨年の西アジアカップに出場したパキスタンやイランをはじめ、アフガニスタンやイラク、パレスチナが該当する。近年のパキスタンは積極的に国際大会に参加しており、来日もしている。イランは西アジアカップ以外で表舞台に立つ機会が少ないが、何とか野球を続けている。パレスチナはWBSCに加盟したばかりで波に乗っている。しかし、アフガニスタンとイラクはこの数年、情報がない。

以前、アフガニスタンとイラクの野球連盟に連絡を取ったことがあるが、両国ともにチームがあり、練習はしているものの、経済的理由のためにその先に進むことができないとのこと。これらの国々がWBSCやアジア野球連盟といった国際組織に加盟できたのは、パキスタンの尽力が大きい。

先日、パキスタンが発表したエジプトとの女子野球交流試合のように今後は西アジアと中東諸国が協力し合って発展しようとしている。将来的には同地域での国際リーグ戦を始めようと計画しているようだが、果たしてどう転がるか気になるところだ。パキスタン野球連盟の会長は「エジプトの支援はもちろんのこと、周辺国へ協力は惜しまない」と話していたのが心強い。

先日発表されたWBSCの世界ランキングでは、パキスタン、イラン、イラクの順番でランクインしている。イラクは昨年、国際大会には参加していないため、ポイントを得ることができなかったが、最下位の85位でなんとかランクインしている。その他はポイントすらもっていない。

世界的な野球の普及、ということを考えたとき実力差は仕方ないにしても、まずは国際大会に出場できる環境を整えたいところだ。よく自身に西アジアや中東地域の選手から「日本でプレーしたい、上のレベルでプレーしたいからチームを紹介して」と依頼が来ることがある。その向上心は素晴らしいところだが、こうして頼んでくる選手に共通するのは自分の実力を客観的に見ることができていない。

その選手の国では確かにトップレベルかもしれないが、プレー動画を見てみても日本でプレーできるレベルではない。それは外の世界を知らないことが大きい。いきなり日本で、とはいかなくともまずは周辺国の国際大会で出てみるとよいだろう。

アジア野球は東、西アジアと地域ごとに分けることができるが、西アジアは極端に国際大会の機会が少ない。試合をすることは同地域の競技発展はもちろん、選手も実力の見極めができる機会となる。ぜひ、西アジアや中東地域の選手に成長の機会がほしい。

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