自身は昨年から女子野球の現場に足を運ぶようになった。それまでは、時間があえば女子プロ野球の試合を見に行く程度であり、中学、高校といったユース世代はほぼ見たことがなかった。振り返ると2019年2月に香港で開催されたフェニックスカップから始まり、3月の女子硬式高校野球選抜大会、7月の中学生の全国大会、9月の女子プロ野球、11月のクラブ選手権と女子野球アジアカップと現地にいた。
今年で女子野球2年目を迎える訳だが、こうして女子野球を見てきて思うのは、男子とはまた違った魅力があることだ。例えば、スイング軌道の美しさや守備時に捕球から送球までの一連の流れなど、数えきれないほどだ。1番は男子野球と完全に切り離した状態で「女子野球」を観ることで新たな発見があるだろう。
世界の女子野球に目を向けてみると、昨年11月に中国で開催された女子野球アジアカップで日本と他国の実力差が開きすぎていることが露呈。高校生を集めた日本が決勝戦を除いてすべてコールド勝ち。ほぼベストメンバーを集めた他国を圧倒した。最新の世界ランキングでもダントツの1位であり、W杯でも6連覇と圧倒的な強さを見せている。同じ日本人として、母国が勝つのは喜ばしく、誇りに思う反面、このままではいけないという危機感もある。
日本が強いことはよいのだが、強さを維持しながらも他国の競技力向上を支援する必要がある。他国がすぐに日本と肩を並べるまでになるのは時間がかかるが、定期的な野球教室や選手交流を通じて高いレベルを示していく役割がある。これまでに小西美加投手がブラジルとパラグアイへ、山崎まり選手がオーストラリア、六角彩子選手が過去にスリランカやインドネシアに行った実績がある。また、里綾実投手がフランスに行く情報もある。
自身が女子野球に対して感じている魅力の1つとして「世界と共に成長する」姿勢があることだ。先日、静岡での女子野球イベントでは今後はラオスなど、新しい場所での競技普及活動を行うことを発表していた。すぐに他国選手の能力向上を確認するのは難しい。それでも日本の選手から学ぶことができる機会は、プレー継続のモチベーションとなるだろう。
2020年は女子野球にとっても大きな大会「W杯」がある。既に参加の12ヶ国は決まっているが、自身は今後の世界の女子野球界の発展のためにも女王・日本に勝つ国の出現を期待している。日本の連勝記録を止める国はどこになるのか。先述の選手らが関わった国々になるのか、それとも別のところなのか、考えるとワクワクする。
なかなか男子野球で現役選手自ら海外に赴き、現地の選手に向けた野球教室や交流をする機会は少ない。その逆に女子野球ではそれができてしまう。「男子野球にはできないことをする」ことも女子野球の魅力1つだ。日本国内での女子野球普及・発展に向けた課題もあるが、同時に世界のことも忘れない。この姿勢があれば、さらなる競技発展が望めると信じている。ぜひ、2020年の女子野球にも注目していきたい。