「アジア野球」と聞くと過剰反応してしまう性分。いつものように野球情報を収集していると気になる記事を見つけた。「デイリー新潮」で発表された小林至氏の記事「16球団構想」についてのものだ。
参考:王貞治氏「16球団構想」を実現させる方法、王さんが観客席を眺めながら口にした疑問は?
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02040556/?all=1&page=3
その中で「スーパーアジアリーグ構想」を提案していた。内容を読むと、日本プロ野球全12球団に加えて韓国や台湾、中国から計4球団を加えた16球団構想にしたいという内容だった。現実できるか否かは別として、まず新しいことを提案した点については良いことだと思う。しかし、自身はこれを読んだとき、真っ先に「なぜアジアを巻き込むの?」という疑問が浮かんだ。
これまでもアジア野球全体の活性化の策としてアジアリーグ構想が考えられたことがあった。2005年から2013年まで開催されていた「アジアシリーズ」や2017年から始まった「アジアプロ野球チャンピオンシップ」など、このアジアリーグ創設のためのお試し大会だったのではないかと考えている。しかし、アジアシリーズは観客動員数の伸び悩みやスポンサー撤退によってなくなっている。
小林氏の提案に話を戻すと他国のチームをNPBに加えるのは必要ないと思っている。それならば以前から候補に挙がっていた静岡や新潟、京都など日本国内に絞った方がよい。なぜなら日本のプロ野球なのだから。国ごとの市場規模も違うし、リーグの仕組みも違うため、色々とやり取りが必要になる。
アジアシリーズがなくなってから約6年が経った今、日本にはチェン・グァンユウ投手や王柏融選手などの台湾人選手がおり、チームごとでも台湾球団と交流する機会が増えている。その一方で韓国はイ・デウン投手を最後に韓国人選手がいないため、繋がりが薄くなった気がするが、毎年のウインターリーグで若手選手は対戦している。
また、約6年を振り返ると韓国ではKTウィズ、台湾では味全ドラゴンズの誕生と球団数が増えてそれぞれで発展している。中国でも昨年から新たなプロリーグが生まれており、確実にアジア野球は変化している。今後も人財交流や交流戦の実施は継続していく必要はあるが、わざわざアジア諸国を日本のリーグに加えなくともよいところまで来た。他国を巻き込むならば、今ある交流戦やアジアプロ野球チャンピオンシップをどのように発展させるかを考えた方がよいだろう。
本当にアジアリーグをつくりたいのならば琉球ブルーオーシャンズにその役割を担ってもらえばよいのではないか。先日、田尾安志シニアディレクターが「アジアのハブグラウンドになれば」という発言をしているため、まさにぴったりだと思う。ちょうど北京タイガースとの試合も予定されており、今後は台湾球団との対戦も目指していることあってまさに一石二鳥ではないか。