【功績】2020年-女子選手の未来を照らした野村克也と水原勇気

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写真:2019年女子硬式高校野球選抜大会

2月11日、戦後初の三冠王であり、指揮官としても日本一を経験するなど野球界に多大な影響を与えた野村克也さんが亡くなった。この2年で一気に元気がなくなった印象があり、車いすが必要な生活だったことに驚きを隠せなかった。昨年のヤクルトスワローズのOB戦では教え子たちに支えながらも打席に立つ姿を見て、元気を取り戻したかと思っていただけに残念でならない。

既にマスコミ各社が野村監督のエピソードを紹介する記事をたくさん出している。この日、野球記事のほとんどが今回の訃報を伝えるものであり、どれだけ多くの人から慕われ、偉大だったのかを改めて認識する日となった。

野村監督は多方面から野球界発展に尽力した人物だと思う。女子野球の世界にも一石を投じたと言ってもいいだろう。あの「ドカベン」や「あぶさん」などで有名な漫画家、水島新司氏をご存じだろうか。水島氏の漫画の「野球狂の詩」に女性投手の水原勇気が登場し、このキャラクターの誕生には野村監督が関係したと言われている。

当時、女子野球選手を漫画内で登場させようと考えていた水島氏がこのアイディアをプロ野球選手に相談してみたところ、あまり良い反応ではなかったという。しかし、南海ホークスの選手であった野村監督だけは「その投手にしかないボールがあれば、ワンポイントとしてなら通用するかもしれない」と話したことで、水原勇気がプロの世界で活躍するために開発した「ドリームボール」誕生のきっかけをつくったことになる。

それから現実世界には、片岡安祐美さんと吉田えりさんらが世の中に登場すると「リアル水原勇気」と報じられるようになり、水原勇気は女子選手を象徴するキャラクターとなった。今でも男子に混じって選手もいれば、女子だけのチームでプレーする選手もおり、女子選手の在り方の選択肢は増えている。

もし、水島氏が女子選手を漫画で登場させようと考えていなければ、もし、野村監督が上記にように話をしていなければ水原勇気の存在はなく、現実の女子選手を表す言葉も出てこなかっただろう。後は何年かかっても、男子プロ野球で女子選手が活躍する「リアル水原勇気」の出現を期待したい。

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