写真:2019年SEA GAMES野球競技で優勝したフィリピン代表
早いものでもう2月中旬に突入した。NPBでは練習試合、MLBではスプリングトレーニングが始まる。各国とも本格的に開幕に向けて動いている。今年は毎年恒例のシーズンはもちろんのこと、今年は東京五輪とWBC予選も行われるため、会場となるアメリカ・アリゾナは大忙しだ。
そのWBC予選は今年から12ヶ国を2グループに分けて、それぞれ上位2ヶ国が本戦に進む仕組みとなった。アジアからはフィリピンとパキスタンが出場。現在、フィリピンは選手選考の最終段階であり、パキスタンは出場選手を決めて合宿中とのこと。
先日、日本からフィリピン代表として北海道日本ハムファイターズの高山優希投手、BCリーグの神奈川フューチャードリームスに所属するカレオン・ジョニル・マラリ外野手が選出された。今回、2人の代表入りを受けてフィリピンで働く傍ら、現地の野球発展にも関わっている片山圭二さんと連絡をとった。片山さんとは昨年12月、フィリピンで開催された東南アジア版五輪「SEA GAMES」の会場で出会った。その前にも10月に台湾であったアジア選手権で代表コーチを務める姿を見ている。
写真:2019年SEA GAMES野球競技で優勝し、祝福される片山さん(写真中央)
現時点での選手選考は23人までは決定しており、残り5人についてはまだ調整中とのこと。先に高山投手とカレオン外野手の招集を正式発表し、なぜ彼ら2人に出場オファーをしたのかその意図を聞いた。
高山投手は2016年ドラフト5位で大阪桐蔭高から入団。150キロの直球やスライダーを武器に将来が期待される左腕だが、ここまで1軍登板なし。現在は育成選手から再び支配下登録を目指している21歳だ。母親の母国ということもあり、今回の代表入りに繋がった。
高山投手について片山さんは「左の柱になる投手としてオファーしました。プロでは伸び悩んでいますが、今までとは異なる国際大会を経験することは、彼にとってもいいのではと思っています。日本のプロ選手と一緒にプレーできるだけで、フィリピン人選手にとって勉強になります」と話している。
一方、カレオン外野手は神奈川県の武相高で投手兼外野手として活躍し、2018年のドラフト会議では指名候補選手にもなった。結果的にNPB入りとはならなかったが、福島レッドホープスを経て今年から再び、神奈川に戻ることに決めた。上位打線を担うことができるシュアな打撃がウリの選手だ。
カレオン外野手について片山さんは「高校3年のときにプロ注目の選手であっただけに、シュアなバッティングに期待しております。昨年も福島ホープス(BCリーグ)でも結果を残しており、彼の若さにも期待してます。フィリピン人なので、今後アジア選手権やアジア競技大会にも参加してもらいたいですね」と語っている。
高山、カレオン両選手ともに若く、今後の飛躍が期待される。高山投手は今回の予選を経て支配下登録復帰、カレオン外野手はフューチャードリームスでスタートダッシュを狙う。フィリピン代表は2018年の東アジアカップと昨年のSEA GAMESで優勝、東南アジアでは最強チームだ。現在はその上をゆく中国に追いつけ、追い越せ状態であるものの、アジア選手権でその中国に対し完封勝利を挙げるなど着実に力をつけている。
そして今回のWBC予選ではアジア以外の国々と対戦することになるフィリピンと同グループなのはチェコ、スペイン、イギリス、ニュージーランド、パナマだ。この中からどこが本戦に進んでもおかしくはないほど、力が拮抗しているだろう。上位2ヶ国に入ることは決勝に進む必要性を意味しており、難易度が高いがぜひ、フィリピン代表にはアジアの代表としてこれを実現してほしい。