【野球旅回顧】2020年-喜びのニュースで思い出した中国の選手寮

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写真:中国・中山にあった選手寮

いつものように野球ニュースを見ていたところ、嬉しい内容があった。それは、埼玉西武ライオンズのチーム総括部で活躍している劉璞臻(リュウ・ハクシン)さんが、ニューヨーク・メッツのコーチ研修に派遣されるというものだ。

参考:西武のコーチ派遣
https://full-count.jp/2020/02/21/post696264/

中国出身の劉さんはこれまで、筑波大学で野球コーチングを学び、大学院でも研究員として研鑽を積んできた。昨年まではBCリーグ「武蔵ヒートベアーズ」のスタッフとしてチームを支え、さらに今年から西武に入社と着実にステップアップしている。

元々、劉さんとは彼が筑波大時代のときに共通の友人を通じて出会った。それからはコーチングや中国野球のことなど、ひたすら野球について語り合う仲になった。彼が西武に入社する前、昨年11月に中国・中山で開催された女子野球アジアカップで共に行動していた。自身は試合を見て、その隙間に選手と話をするなど、球場周辺を歩き回っている間、劉さんは大会運営を支える一員として汗水たらして動いていた。

アジアカップ期間中、いつものように球場に向かおうとしたところ、劉さんから「選手寮を見に来ない?」と連絡があった。これを受けて宿泊中のホテルから約30分ほど歩いただろうか。指定された場所に到着すると目の前には上の写真の施設が立っていた。中に入ると最初に目に入ったのは…

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写真:中国野球史において最重要人物・梁扶初

この人物は「中国野球の父」と呼ばれる梁扶初(リャン・フーチュウ)。明治大卒で中国に戻った後は上海野球チームの監督を務め、本土初の野球教本を出版したことでも有名であるため、まさに中国野球の基礎を築いた人物と言える。

実際に寮の中に入ると、個室が用意されており、食堂はもちろん、洗濯機など生活に必要最低限のものしか置いておらず、さっぱりとした雰囲気だった。当時、アジアカップ期間中だったこともあって訪れた寮はスタッフが使用していたが、国内大会となると一体どのような状態になるのか気になるところだ。

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写真:選手寮の様子

ちなみに中国・中山は野球の国際都市化を目指しており、同地域の野球発展を支えているのは「熊猫体育(パンダスポーツ)」という企業だ。この寮や球場などはこの企業の存在があったからこそ、完成した。アジアカップが開かれた球場名も「熊猫記念球場」という名前であり、今後は中国プロ野球チームが使用する新球場の建設も予定されている。

今回、劉さんのアメリカ派遣のニュースを見て思い出した中国の選手寮の話。見学が実現したのはまさに劉さんのおかげだ。感謝の気持ちを示すと同時に、アメリカでの活躍に期待したい。

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