写真:2019年台湾シリーズ
2020年、ついにこの世界にプロ野球公式戦が戻ってきた。ただし、日本でもなく、アメリカでもなく、台湾からレギュラーシーズンが始まった。当初は前日の4月11日から開幕予定だったが、雨天中止となったために、本日4月12日に改めて開幕となった。
記念すべき初試合は中信兄弟 vs 統一ライオンズの一戦。会場は台湾・台中インターコンチネンタル球場だ。この球場は中信兄弟の本拠地であり、近年は台湾で国際大会をする際によく使用されている。世界中のリーグがコロナウィルスの影響で開幕延期を決定する中で、台湾プロ野球(CPBL)は完全無観客、球団スタッフ、報道関係者はマスク着用等の対策をした上で運命の日を迎えた。
試合は野球がない日本でも大きく注目され、メディアでリーグ紹介や元阪神の林威助氏にインタビューをするなど急に情報が入ってくるようになった。どのような形でもこうして台湾野球が多くのファンの目に触れる機会になるのは嬉しいことだ。
迎えた開幕戦の両先発は共に外国人投手。台湾では日本ほど「開幕投手」の称号にこだわりはなく、長いシーズンのうちの最初の1試合に過ぎない。その代わり、確実に勝利を狙える投手を先発させる。中信兄弟の先発は昨年までソフトバンクにいたアリエル・ミランダ。一方の統一は以前、韓国プロ野球・KTウィズでもプレーした左腕のライアン・フィアベントだった。
先にマウンドに立ったミランダは満塁のピンチを迎えるもなんとか無失点に抑える立ち上がり。しかし、続く2回に統一の鄭鎧文(ジェン・カイウェン)がレフトへの一発を放ち、2020年初本塁打初打点を記録し先制した。リードされた中信兄弟は4回、チアリーダーのダンスで名前が知られるようになった詹子賢(ザァン・ズーシェン)が同点弾を放ち、試合は1-1の振り出しに戻る。
ミランダのこの日の失点は本塁打1本のみで5回1失点7奪三振。フィアベントも5回1/3 1失点4奪三振の成績でマウンドを降りた。試合はそのまま同点のまま9回裏へと突入。中信兄弟は2死満塁のチャンスもあと1本が出ず、延長戦に突入した。というのが、このブログを書いているときまでの戦況だ。
これまで日本でCPBLを見ることは言葉の壁もあって簡単ではなかった。しかし、今年はNPB2軍中継をしている「イレブンスポーツ」が楽天モンキーズと統一の主催試合中継を開始し、有料ではあるものの、日本のファンも生中継で台湾の試合を見ることができる。また、開幕戦は「Twitch」での無料配信がされているため、気軽に視聴が可能になった。
聞くところによると、世界中の野球ファンがCPBLの試合を見ているという。今やコロナウィルスで思うように行動できない状態が続く中で、たとえ無観客でも試合を見ることができるのはまさに希望だ。この機会により多くの人が台湾野球に興味を持ち、コロナ終息後、実際に台湾現地に足を運ぶ人が増えることを願っている。本日4月12日はその大事な一歩となるだろう。