□新興国・ベトナム
今年は数多くの国際大会が中止になってしまったが、たとえ多くの国々が集まることができなくとも、世界各国で野球は継続されている。その例を挙げるとしたら東南アジアの一角のベトナムだ。
同国では日本や韓国のサポートを受けながら小規模ながらも野球は継続されてきた。日本からはNPB球団OBによる「名球会」の面々が現地を訪れ、これまでに数回の野球教室を行ってきた。
特に最近、2020年は韓国側が活発だ。ベトナム政府と連携して現地で初となるベトナム野球連盟を設立するまでに至った。開始は2020年12月からと発表はされているが、具体的な日にちは(※12月1日時点で)未発表の状態になっている。
□現地に存在する2リーグ
2020年現在でベトナムは世界野球ソフトボール連盟(WBSC)やアジア野球連盟(BFA)といった国際組織には加盟していない。マイナースポーツの社会的地位を高めるためには大きな組織を持ち、実績を残すことも重要だ。
去る6月、ベトナムの首都・ハノイにおいて初めての野球リーグ戦が全4チームで行われた。これはベトナム人選手だけが集まったリーグである。

このリーグは主に大学生の選手が集まったリーグであり、実践経験を積むことを目的としたものだった。プロではないものの、これが純ベトナムリーグと言えるだろう。
気になるのはもう1つのリーグ、ホーチミンに誕生した野球リーグだ。

これは前述のハノイのリーグとは違い、韓国の完全バックアップによる野球リーグであり、参加6チームのうち5チームが現地在住の韓国人チームだ。唯一のベトナム人チームは「HCM PIONEERS」となる。
スポンサーには今季限りで韓国プロ野球・LGツインズの監督を辞任したリュ・ジュンイル氏の名前がある。このようにとても韓国色が強く、韓国人選手のためのリーグと言ってもよいだろう。
□連盟設立で基礎固めへ
すでに野球リーグが始まり、連盟設立も決まったベトナム。次なる目標は現地での日常生活に野球を浸透させることにある。具体的なプランも発表されており、手始めに韓国で発売された野球トレーニングや教本をベトナム語に翻訳して、小中高の各学校に配布する。
また、ベトナム政府と連携して野球プログラムや指導者コースを設立して選手と指導者教育に同時に力を入れて成長スピードを速くする。これらのプランは2022年3月までのものであり、さらに追加される可能性もある。
本来ならばもう1つ。2年に1度、東南アジアの国々が集まるスポーツの祭典「SEA GAMES」が開催されている。一言で表すならば「東南アジアの五輪」であり、開催地は持ち回りだ。次回大会は2021年、開催地はベトナムの予定だ。
ホスト国だからこそ、野球を実施競技に入れたかったが、残念ながら実施予定の40競技の中に入ることができなかった。最近までは36競技までは決まっており、新たに追加されたのはe-sportsとトライアストン、ボーリングと柔術の4競技となった。
次回は2023年のカンボジア大会の予定。今回は野球は実施されないが、ベトナム野球はこの時までに戦える代表チームを組織して球史に新しい1ページを刻んでほしい。