元日本ハム・ミラバルがインド野球を支援

元日本ハム・ミラバルがインド野球を支援

□謎の団体の存在

2019年西アジアカップに出場したインド代表選手

 数日前、筆者のFacebookのタイムラインで「インド野球ソフトボール連合」(通称:CPBSC)という団体の情報が流れてきた。さっそくHPを確かめてみると「インド全州で野球とソフトボールの発展を促進させる団体」と書かれていた。

https://www.cpbscindia.org/?fbclid=IwAR03Zm5wk8yesVY_N8Ir2qq82scGMjoFWZo9XaplMp6viTHBm2_x9qNsyeU

リンク先:CONFEDERATION OF PROFESSIONAL BASEBALL SOFTBALL IN INDIA

 インドといえば、全28州のうち26州で野球が行われている。将来的には同国は中国を抜いて人口世界一になると言われており、野球界では多くの原石が眠っている。この状況に注目したMLBは支援に乗り出し、2019年には首都・ニューデリーに事務局を設立すると発表した。

 MLBはインドを選手獲得のための市場と考えているため、普及・発展というよりもいかにして効率よく選手を獲得するかにフォーカスしていると言ってもいいだろう。今回の「CPBSC」はインド国内の野球・ソフトボール発展を目指す。

□強力なサポーター

 こうして突然現れた新しいインド野球の団体。もっと詳細を知ろうとHPの中身を確認していくと見慣れた人物の写真が出てきた。これがこの人物だ。

写真:カルロス・ミラバル氏 (出典:CPBSC)

 カルロス・ミラバル。この選手を覚えているだろうか。2000年に日本ハムに入団すると150キロを超える直球とナックルカーブを武器に先発、中継ぎ、抑えとどのような起用法にも応える万能選手として活躍。チームが北海道に移転する前の2003年、東京時代最後の開幕投手を務めた。日本で6年間プレーし、180試合に登板して39勝38敗37セーブ 防御率4.32の成績を残した。

 日本を離れてからはアメリカ独立リーグやドイツリーグでプレー。2019年は徳島インディゴソックスで臨時コーチも務めた。現在は日本でプレーした外国人選手OB会「一般社団法人 日本プロ野球外国人OB選手会」(通称:JRFPA)で代表理事として精力的に活動している。

 筆者は「JRFPA」の取材を通じてミラバル氏と親交があったため、今回のインド野球について聞くために本人に連絡をした。するとすぐに返信があり、コーチ就任の詳細を教えてくれた。

 「コーチ就任の話が来たのはちょうどこのコロナでの自粛期間だよ。この「CPBSC」はできたばかりの組織。僕はこの中でアマチュア選手の指導を担当することになっているんだ。インドには2024年までにプロ選手を育成する目標があって、そのためにはアマチュア選手のレベルを高める必要があるから、その手助けをする予定だよ」

 現在、インドにはNPBのようなプロ野球と呼ばれる組織はないため、まずは基盤を固めるために選手自身の技術を高めることにフォーカスしたのだろう。今後はMLBとも協力しながらインド野球の発展を目指していくとのことだ。

□2021年本格始動

 2020年はコロナウィルスが猛威を振るった年であり、数多くの国内外大会が中止、延期となってしまった。それでも、国によって試合数を減らしたり、開催期間を変更したりと工夫しながら野球自体は開催していた。

 インドでも全28州あるうちの26州で野球が行われている中、州ごとに大会を行っていた。しかし、最近ではコロナとは別の謎の病気が拡がり続けているとのことで、この先は不透明な状況だ。

 ミラバル氏によると、インドでは2021年2月16日-21日の期間で野球大会を開催しようと準備をしているという。しかし、コロナの影響もあって日程が4月にずれ込む予定だ。

 同時に大会開催のためにスポンサーを探している。このコロナ渦の中でリモートワークが社会に浸透しつつある中で、海外とのやりとりは便利になった。ミラバル氏はこの機を活かして日本企業に協力を求めているそうだ。

 「トーナメントを開催するために早くワクチンができることを願うよ。インドは財政的に決してよいとは言えないから僕ができることは、日本企業と協力すること。2021年は日本を通じて何かができると思うよ」

 組織的に成熟していない部分は海外からの助けが必要になる。今回のミラバル氏の支援は2024年までの予定になっているが、たとえミラバル氏本人がインドから離れたとしても、現地の選手が継続的にプレーができるような仕組みづくりも考える必要がある。

 2021年も少なからずコロナの影響を受けるとは思うが、決して屈せずにできることを模索しながら野球大会が開催できるように事を進めたいところだ。ミラバル氏の新たな挑戦が始まった。

アジア野球カテゴリの最新記事