大谷翔平の会見を見て思う残念さ

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□毎回同じ気持ち

 11月15日、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が日本記者クラブでシーズンを振り返る記者会見を行った。2021年は誰もが知る大活躍で日本中を熱狂させたと言ってもいい。今でもコロナ禍で苦しむ日本にとっての希望の光だったと言える。

 そんな彼が帰国しての会見。多くの人がぜひ本人に聞いてみたいことが数多くあるだろう。多くのファンを代表して大谷選手本人に話を聞くことができる権利を持つのが、テレビ局や新聞社などメディアである。彼ら、彼女らは情報を伝えるという部分ではプロ集団だ。プロということは映像や記事内容を伝えることによってお金を頂いているのである。

 最近、記者会見を見ていると本人に質問できる特権を持つメディアの人間がする質問内容の質が落ちていると感じる。質というよりは「今、この質問をするのか!?」という驚きの方が大きい。一体、何のための記者会見なのだろうか。野球関係で特に中継される記者会見については毎回、このような気持ちになっている。

□時間を分ける必要あり

 こうして記者会見に出席する記者すべてが野球専門メディアではない。ワイドショーをはじめ、一般大衆向けのところも参加しているため、必ずしも質問内容が野球だけに限られるものではない。例えば、大衆向けにボールのスピン数や打球速度の話をしても「なんのこっちゃ?」という気持ちになるだろう。そのため、野球に馴染みがない人向けには技術以外の質問が必要になるのだ。

 いくら技術以外の質問も必要とはいえ、今回の会見は酷いと感じた。その例として栗山英樹前監督や新庄剛志監督の日本ハムの話をはじめ、日本球界復帰の可能性の話や結婚や納税の話とムリをしてまで大谷選手本人と結び付けたようなものが多かった。

 こうした幅広い話に対してもすべて答えた大谷選手は律儀だと思う。しかし、この会見のメインは今季を振り返ることだったはずだ。最後に来季の向けての話をしてもよいと思うが、なぜ意味のない質問が飛んでしまったのだろうか。この場所はおふざけ何でも質問会ではない。こちらからすれば、結婚の話を聞くためだけに会社からお金をもらって、大衆を代表しているのかと怒りがこみ上げる。

 会見時間が総計1時間だとすれば、今後は大衆向け、野球専門向けと2部構成にすればよいのではないだろうか。今回は幅広い内容、どちらも一緒に会見に出席していたため、内容を知る側もその質問内容にガッカリしてしまう。大衆と野球好き、同じ大谷選手に対して質問するにせよ、聞きたいことが異なるだろう。試しにやってみればよいと思う。

□記者は大衆代表

 この記者会見について海外から批判殺到だったという。記者からの質問が長く、内容も薄いものが多くダラダラとしていた印象だった。MLBの記者も次のようなツイートをしているくらいだ。

「ボクはまだ、日本語を流ちょうには話せないけど、大谷翔平に対して記者たちの質問が長すぎだってことはわかる。彼と同じような表情、気持ちだよ」

 今はSNSの普及によってたとえ、海外在住で直接見ることができなくとも、その様子を簡単に知ることができる。しかも今回は注目度が高い、大谷選手の会見である。海外の記者は日本語がわからなくとも、本人とは直接的に関係がない話や不要なプライベートなことを聞かれていると気付いているのだ。

 この出来事で日本の記者レベルが低いことを全世界に公開してしまった。筆者自身も「アジア野球ライター」を名乗り、この会見に参加した記者のような伝える側の立場にいる。会見は自身の質問力を鍛える教材にしているだけに残念でならない。記者は議員選挙のように投票で選ぶことはできないが、大衆を代表して著名人に質問できる権利を持っているのだ。

 会見の時間は限られている。そのため、大勢集まると質問数も限られてしまう。その中で質問する権利を得た記者が拍手を求めたり、この場では不要な質問をすることは時間の無駄であり、大谷選手の人生の時間を平気で奪っているのだ。見る側が質問の質を求めているのは、記者は情報発信のプロであること、我々の代表であること、そして時間制限があることが理由だと思う。

 記者自身は大衆の代表でありながら、自身が所属しているメディアの代表でもある。特に今回のような中継もされる会見で何かをやらかせば、所属しているところも傷つけかねない。取材ができるとウキウキ気分で会場にいる記者もいるようで気がかりだ。

 記者は自分の発信で取材対象者の人生を狂わせかねない。その前に直接質問ができない大衆の代表であることを自覚した方がいい。逆に記者ではなく、本当の大衆から数人を選出して記者会見で質問させたらどのような内容になるだろうか。とても興味があり、面白い。

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