□朝からビッグニュース
11月7日、野球界の大きな話題は巨人が女子野球チームの設立を発表したことだろう。朝にTwitterを確認するとタイムラインの約9割がこの話題で占められており、喜びの声に溢れていた。これでNPB球団による女子野球チームは埼玉西武ライオンズレディース、阪神タイガースWomenに続き3球団目となる。
現時点では巨人の女子野球チームの監督やチーム名は決まってはいないが、既に4人の選手の入団が決まっている。2023年から関東のヴィーナスリーグに参戦を目指す。来秋までにトライアウトを経て全選手の入団が決定する予定となっており、それまでは練習やアカデミーでの後進育成に関わりながら活動するという。
□注目される今後
西武、阪神によるNPB球団による女子野球チームの設立、広島東洋カープが打ち出した広島県内の女子野球発展に寄与する活動とNPB球団の女子野球界参入が目立つ。これまでは巨人がヴィーナスリーグの後援、東北楽天ゴールデンイーグルスが宮城・クラーク記念国際高校の支援、福岡ソフトバンクホークスの女子野球大会実施など、チームはないが、関わっている事例はある。
この動きからファンの間ではNPB12球団の女子チームの設立や将来的なプロ化を望む声もある。こうしたNPB球団の参入や今夏の甲子園といったビッグイベントによって女子野球という競技の認知度が高まり、この流れに乗って全国的にチームをつくるところも増えた。2021年は競技拡大という点で大きな飛躍となった。
確かにチームは増えた。選手にとってはプレーする環境が増えて「女子野球を当たり前の文化にする」という、女子野球界全体の目標に少しずつ近づいている。筆者はこうした動きを歓迎する傍ら、次なる課題について考えている。プレーをしてお金を貰うプロ化、もしくは指導者やその他事業での報酬だ。
選手側にとってはプレーで生計が立てられるかどうかが次なる課題だろう。現状では西武や阪神がチームを持っているとはいえ、名前やユニフォーム、練習施設を貸していても生活を完全保証できる金額は出ていない。数人は球団が運営するアカデミーのコーチも行っているものの、ほとんどが別の仕事を持っている。
NPB球団以外には企業チームとして、プレーではなく会社から給与という場合もあるが、競技全体として注目を浴びているとはいえ、女子プロ野球が休止中の今、選手がプレーだけでお金が貰える機会はほぼない。そのためにはプロ化が必要であって再度、わかさ生活が動くのか、もしくはNPB12球団が動くのか今後の動きに注目したい。目指すは女子野球選手としての自立だ。
□関わり方の支援
こうして女子野球が拡がっていく中、選手が増えるように応援している側も何かしたいものだ。スポーツの関わり方は「する」「みる」「ささえる」の3つの方法がある。選手としてプレーする「する」側、スタンドで応援する「みる」側、そして指導者をはじめ、情報発信するメディアや環境を整える人々がいる「ささえる」側だ。
「する」側は今日のチーム数増加で着実に前に進んでいる。筆者は1番は「ささえる」側の人材育成や準備が追いついていないことを危惧しているが「みる」側も今以上に何をすればいいのか、先が見えない状態が続いているのではないかと思っている。今はコロナ禍で球場に行く機会が減ってはいても、ファンは球場に足を運んでいるし、カメラを持って選手の写真を撮影して紹介している人もいる。
「みる」側が直接的に支援できる方法とすれば、試合観戦にお金を払うことだ。先日、ジャイアンツ球場で行われた東西対抗戦は指定席だったこともあり、観戦にお金を使った。他には全日本女子野球連盟のサポーターズクラブに入会することも方法の1つだ。女子野球の認知度が高まってきた今、プレーにお金を払う機会をもう1度つくりたいところだ。
応援という行為はハードルが低く、誰にでもできることであり、その競技を知る第一歩にもなる。応援したいという気持ちを持ちながら競技発展に関わりたいのであれば「みる」側も「競技発展に貢献している」と実感できるようなイベントや動きがよりあれば、より球界全体が盛り上がる。