世界女子野球プロジェクト始動

世界女子野球プロジェクト始動

□ミライ会議の存在

 2022年5月から女子野球の未来をさらに明るいものにするために誕生した団体「ミライ会議」は今秋、新たなフェーズを目指すことになる。これまでは海外で女子野球を経験した現役選手3名(石川優希選手、里綾実投手、川端友紀選手)に自らの経験や女子野球に対する想い、今後の競技発展を目指して参加者全員と共に「ミライ」について考えてきた。

 過去3回のイベントはすべてオンラインでの開催であり、主に全国各地の高校生の選手と繋がることができた。次に目指すのはオフライン、リアルでのイベントの実行だ。思えば当団体誕生のきっかけとなったキーワードは「海外」であり、阿部翔太代表も中米・ニカラグアで女子野球の基礎をつくった経験があると同時に女子野球を日本だけにとどまらず、世界に向けて競技規模を拡げていこうとしている。

 そうなると、次は実際に海外に行ってみようということに。しかし、阿部代表1人だけではやれることに限界がある。「どこに行こうか、何をしようか」と頭を悩ませていたところにとても心強い救世主が現れた。現在、女子野球クラブチーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」でプレーしている志村亜貴子選手と里投手だ。

□2人の救世主

 チームメイトである2人は選手としてだけではなく、女子野球の普及と発展を目指す団体「一般社団法人野球はみんなのスポーツ」を設立して活動も行っている。主に野球教室の開催や野球イベント、講演活動など選手としてのプレーと同時並行しながら全国各地を巡っている。

 今回は「海外女子野球」というキーワードから「ミライ会議」と「野球はみんなのスポーツ」が一緒になって新しいプロジェクトを始めることが決定。そこで、その内容を決めようと8月21日に最初のオンライン会議が行われた。

 志村選手、里投手の2人はちょうど女子野球クラブチームの頂点を決める大会「クラブ選手権」の約1週間前という忙しい合間をぬって参加していた。自らの調整もある中でもそれぞれの想いでもあり、女子野球のミライのために行動できることもあって彼女らの目はキラキラ輝いていた。

 当会議の参加者の共通点はもちろん「海外」だ。志村選手、里投手は世界大会で日本代表(通称:マドンナジャパン)の主将やコーチ、チームのエースとして活躍した実績と同時に出場した大会の対戦国、または世界に向けた野球教室で訪れた国の野球環境についても彼女ら自身の目で見ている。

 志村選手は過去、スリランカとフランスで野球教室を行った経験をもつ。特にスリランカといえば、クリケットが盛んな国なのだが、女子野球は主に軍隊所属の選手が行っている。日本のような環境整備には時間はかかるが、個々の能力の高さに期待をしているという。また、里投手は世界大会で1本のバットをチーム全員で使いまわしをしている光景を見た。日本ではなかなか考えられないことだが、この事例は海外に行かないと見ることができない。

□次なる目的地は

 現状、女子野球で海外に行くハードルは高い。1番の方法は日本代表選手になることだが、全国各地から候補が集まることもあって誰でもなれる訳ではない。近年は冬の時期にオーストラリアで大会が行われるため、これに参加する選手もいるものの、行く国や触れ合う国が限られている。

 そこで新たに始まる「海外女子野球プロジェクト」では有志が女子野球発展途上国に行き、野球環境や選手の生活等をレポートすることによって日本の女子野球に関わる人々、1人1人が海外の女子野球の現状を知り、自分たちに何ができるのかを自分事として考えて実際に行動するきっかけの提供を目指す。

 この会議開催のおかげもあり、訪問する場所や現地で行う内容が決まった。コンセプトは「プロジェクトに関わる全員が世界の女子野球に貢献していることを実感する」だ。果たしてどこにいくのか、次回の活動に乞うご期待!

世界カテゴリの最新記事