久々の国際大会へ
「アフガニスタン」―――
アジア野球界において、久々にこの名前を聞いた。なぜなら、2010年代前半を最後に国際大会への出場が途切れていたからだ。
同国は世界野球ソフトボール連盟(通称:WBSC)やアジア野球連盟(通称:BFA)にそれぞれ加盟していることから、現地には野球が存在している。
近年、日本に届いたアフガニスタンの話題といえば、タリバンがアフガニスタン全土を支配下に置いたこと。
果たしてこの国で野球が続けられるのか、スポーツどころではないのではないか、という感情が渦巻いていたが、このニュースがこれらの気持ちを一掃させた。
「アフガニスタンが2023年西アジアカップに参加」
この話題を聞いたとき、真っ先に頭の中に浮かんだ言葉は「復活」だった。しばらくは、アフガニスタン野球連盟の大会参加予算が足りず、国際大会への出場を辞退しなければならなかったからだ。
悔しい日々を過ごしてきた連盟幹部。そんな彼らを救ったのが、パキスタン野球連盟のサイード・ファカー・アリシャー会長だった。
西アジア野球発展元年
今回、アフガニスタンが参加する西アジアカップは、侍ジャパン社会人代表も出場するアジア選手権への予選会となる。
アジア選手権には日本や韓国、台湾、中国のいわゆる「アジア4強」他の出場国を予選で決めている。
予選は西アジアカップのほかにも香港や東南アジア諸国も含めた東アジアカップも存在し、各大会で上位2ヶ国ずつがアジア選手権への出場権を得る仕組みだ。
筆者は以前から、アフガニスタン野球連盟の幹部とFacebookのメッセンジャーを通じてやりとりをしていた。
同国の野球の歴史をはじめ、今後のプラン等を聞いていた。これも5年前の話。2009年から野球を始めるも、なかなか国際大会に参加できないことを嘆いていた。それでも、選手を表舞台に出したいと努力していることを聞いた。
2022年12月、サイード・ファカー・アリシャー会長との会談が開かれた。
そこでは、今後のアフガニスタン野球の発展やパキスタン野球連盟との連携など、未来に向けた話し合いが行われた。
西アジアといえば、2023年にアラブ首長国連邦のドバイにおいて、新しいプロ野球リーグが始まる予定となっている。
この新リーグは、ニューヨーク・ヤンキースで通算652セーブを挙げたマリアノ・リベラ氏とシンシナティ・レッズで活躍したバリー・ラーキン氏の2人が設立にかかわっている。その名も「Baseball United」だ。
同リーグはパキスタンとインド、中東の国々が中心となって西アジア地域の野球発展を目指して創設された。
既にイランやパレスチナといった周辺諸国にも協力や参加を呼び掛けており、これにアフガニスタンを加入する可能性もある。
もし、このままリーグ参加となれば一気に野球発展へのきっかけづくりになり、アフガニスタンという国で野球という新たなスポーツの認知度が高まることも期待できる。
そのためにも、まずは来たる西アジアカップに参加に久しぶりに国際大会への復帰を果たしてほしい。そのときが1月26日から、決戦の地はパキスタンだ。